ニュース速報

ワールド

EU、英に決断迫る 通商協議の時間切れ迫る

2020年10月21日(水)22時29分

 10月21日、欧州連合(EU)のバルニエ首席交渉官(写真)は、英国との通商協定について、双方が懸命に努力し数日以内に対立を克服すれば実現可能との認識を示した。ブリュッセルで15日、代表撮影(2020年 ロイター)

[ブリュッセル 21日 ロイター] - 欧州連合(EU)は21日、難航する英国との通商協議について、打開のカギを握るのは英国だとし、懸案について決断を迫った。

20日には双方が交渉決裂回避のために互いに譲歩を要求する展開となった。

ミシェルEU大統領は21日、欧州議会で、英国はEU離脱において主権国家としての選択肢を有しており、EU市場への将来のアクセスについて決断を下すことになると述べ、難航する通商協議の打開は英国政府次第との考えを強調した。

ミシェル大統領は「時間は非常に限られており、われわれはすべてについて交渉する用意がある。英国は決断を下すべきで、それは彼らの自由で主権国家としての選択だ。彼らの回答がEU市場へのアクセスレベルを決定することになる。これは常識だ」と述べた。

バルニエ首席交渉官は、EU、英国双方が懸命に努力し数日以内に対立を克服すれば実現可能との認識を示した。

「双方が建設的に取り組み、譲歩し、法的文書に基づいて進展させ、数日中に相違点を解消できれば、合意は手の届くところにある」と指摘。「時間が最も重要だ。英国の交渉担当者と共に最も難しい分野で解決策を見つける必要がある」と述べた。

これについて、英国の広報担当者は「協議の難しさの背景にある問題に重要な形で触れている」とし、「興味深い」と指摘した。

<「合意なし」も想定>

ミシェル大統領は、年末までの合意は依然可能との認識を示す一方で、加盟国は合意できないまま移行期間が終了する年末を迎えることにも備えていると述べた。

ミシェル氏は、交渉の懸案事項として、漁業権や公平な競争条件の保証、将来の貿易紛争の解決方法での合意を挙げた。

公平な競争条件の保証について「言葉は必要ない。必要なのは保証だ」と述べ、英国が政府補助の規制や医薬品の高い基準を望んでいるなら、それにコミットすべきと指摘した。

離脱協定の一部をほごにする権限を英政府に与える国内市場法案について、ミシェル氏は、新たな協定は厳しく監視する必要があるとの認識を強くしたと述べた。

シェフチョビチ欧州副委員長(EU機構関係・将来展望担当)は、協議の結果に関係なく、英政府は離脱協定を尊重しなければならない、と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トルコ軍用輸送機、ジョージアで墜落 乗員約20人の

ビジネス

欧州外為市場=ドル下落、米雇用悪化を警戒

ビジネス

スイス、週内にも米と関税引き下げで合意の可能性=関

ワールド

トルコ検察、イスタンブール市長に懲役2000年求刑
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 7
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 8
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 9
    【クイズ】韓国でGoogleマップが機能しない「意外な…
  • 10
    インスタントラーメンが脳に悪影響? 米研究が示す「…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中