ニュース速報

ワールド

トルコ中銀、政策金利10.25%に引き上げ リラ支援へ2年ぶり

2020年09月25日(金)00時00分

トルコ中央銀行は24日の政策決定会合で、主要政策金利の1週間物レポレートを8.25%から10.25%に引き上げた。2015年4月撮影(2020年 ロイター/UMIT BEKTAS)

[イスタンブール 24日 ロイター] - トルコ中央銀行は24日の政策決定会合で、主要政策金利の1週間物レポレートを8.25%から10.25%に引き上げた。ロイターの調査では据え置きが予想されていた。利上げは2年ぶりで、最安値にある通貨リラ押し上げと加速するインフレ統制が狙い。

外貨準備の枯渇などへの懸念から、リラは今年に入って対ドルで23%も下落している。景気刺激策を求めるエルドガン政権からの圧力を受け、今会合では政策を維持するという予想が多かったが、中銀は新型コロナウイルス危機からの急速な景気回復で「インフレが予想以上に上昇した」と指摘。インフレ期待を抑制し、再びディスインフレプロセスに戻すために利上げが必要だったと説明した。

ロイターが事前に調査したエコノミスト17人の間では、政策金利維持がコンセンサスで、3人だけが引き上げを想定、上げ幅の予想レンジは100─150ベーシスポイント(bp)だった。

リラの対ドルレートは、発表後に約7.71リラから7.56リラまで上昇し、約1カ月ぶりの高値を付けた。1153GMT(日本時間午後8時53分)時点では1%高の7.6150リラで推移している。

政策金利は年率11.77%のインフレ率を下回ったままで、リラを預金する場合、実質金利はマイナスのままとなっている。

欧州復興開発銀行(EBRD)のリードエコノミスト、ロジャー・ケリー氏は、利上げ決定を「大胆」だとして歓迎し、2018年の通貨危機から「教訓を得た可能性がある」と指摘。

「新興市場で最も低い実質政策金利にさらされ、リラが着実に弱くなっており、金利コリドー(金利レンジ)を利用して政策引き締めを図る試みに効果がないようにみえる中、中銀は行動を起こす必要があった」と述べた。

ここ2カ月間にリラが下落し、中銀は流動性措置や銀行への融資金利引き上げ指示など裏口的な引き締め措置を導入。7月16日に7.34%を付けた平均資金調達コストは23日時点で10.65%に上昇した。

また、ギリシャや欧州連合(EU)との東地中海の海底資源問題を巡る対立もリラの重しになっている。今週は制裁リスクが緩和した。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ大統領、国民に「絶対的な忠誠」を誓うと演

ワールド

OPECプラスの新評価システム、市場安定化に寄与と

ビジネス

日本の不動産大手、インド進出活発化 賃料上昇や建設

ビジネス

ビットコイン再び9万ドル割れ、一時8%安 強まるリ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 2
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カニの漁獲量」が多い県は?
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    600人超死亡、400万人超が被災...東南アジアの豪雨の…
  • 9
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 10
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中