ニュース速報

ワールド

トランプ氏、中国に「責任取らせる」 国連演説でコロナ対応批判

2020年09月23日(水)07時59分

トランプ米大統領は22日、国連総会の一般討論演説で、中国が「世界に感染を拡大させた」と批判し、「中国に責任を取らせる必要がある」と主張した。ニューヨークの国連本部で撮影(2020年 ロイター/UNITED NATIONS)

[ニューヨーク 22日 ロイター] - トランプ米大統領は22日、国連総会の一般討論演説で、中国が「世界に感染を拡大させた」と批判し、「中国に責任を取らせる必要がある」と主張した。

11月の米大統領選を視野に演説は中国への批判に軸足を置き、対中強硬姿勢をアピールする内容となった。コロナ流行の影響で各国首脳と同様、演説は事前に収録された。

トランプ大統領は、中国がコロナ感染初期に国内での移動を制限しながらも、海外への渡航を認めたと批判。さらに「中国政府、中国に事実上操作されている世界保健機関(WHO)は、人から人への感染を示す証拠はないという誤った主張をした」とし、「その後、無症状であれば感染拡大はないと主張した。国連は中国の行動に責任を取らせなくてはならない」と訴えた。

また、コロナワクチンの配布を約束し、「ウイルスを打倒し、パンデミック(世界的大流行)を終結させる」と言明した。

一方、中国の習近平国家主席はコロナ対応で世界的な結束と協調を訴えると同時に、「冷戦や武力に訴える戦い」のいずれも展開する意向はないと強調した。

習氏は収録映像を通じた演説で、「科学に基づく指針に沿って、WHOが全面的に主導的役割を担い、連携した国際的対応が必要だ」とした上で「コロナを政治化し、汚名を着せようとする試みに反対しなければならない」とけん制した。

中国の張軍国連大使もトランプ氏の演説に対して声明を発表し、米国は対立を引き起こして分断を生み出すために国連という場を乱用していると批判した。

WHOもトランプ大統領の主張に反論。ツイッターへの投稿で、1月14日時点で人から人への感染の可能性を伝え、2月以降には無症状や発症前の人からの感染について可能性を指摘してきたと説明した。

一般討論演説に先立つ21日、習氏は国連創設から75年を記念する高官級会合でもビデオ演説をした。

習氏は「いかなる国家も世界情勢を支配したり、他の国の運命をコントロールしたり、発展の利益を独り占めしたりすることはできない」とし、「一国主義は行き止まりだ」と主張。トランプ氏の「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を暗に批判した。

グテレス国連事務総長は、米中対立を受けて世界が「非常に危険な方向に向かっている」と危惧を表明。「二大経済大国が独自の貿易・金融ルール、インターネットや人工知能の技術を持ち、世界を分裂させてしまうような未来を世界は望まない」とし、「新たな冷戦を避けるためにあらゆる手を尽くす必要がある」と訴えた。

*重複部分を修正して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、対ロ制裁法案に署名へ 最終権限保持なら

ビジネス

エアバス、A350の大型派生機を現在も検討=民間機

ビジネス

ヤム・チャイナ、KFC・ピザハット積極出店・収益性

ビジネス

午前のドル155円前半、一時9カ月半ぶり高値 円安
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 7
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 8
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中