ニュース速報

ワールド

インド中銀、予想外の金利据え置き 物価を注視

2020年08月06日(木)19時43分

 8月6日、インド準備銀行(中央銀行)は政策金利のレポレートを4.0%に据え置いた。政策金利の据え置きは予想外だった。写真はムンバイで2013年10月撮影(2020年 ロイター/Danish Siddiqui)

[ムンバイ 6日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は6日、政策金利のレポレートを4.0%に据え置いた。足元で消費者物価が上昇していることから、インフレ動向を注視する。ただ新型コロナウイルス危機を踏まえ、緩和スタンスを必要な限り維持する方針を示し、銀行の法人向け融資の再編を認めると発表した

リバースレポレートも3.35%で据え置いた。

政策金利の据え置きは予想外だった。

ロイターのアナリスト調査では、3分の2が25ベーシスポイント(bp)の引き下げを、残りが据え置きを予想していた。

インド中銀は昨年から緩和サイクルに入り、今年は2月以降、レポレートを115bp引き下げている。

ダス総裁は「インフレ見通しを巡る不透明感と、新型コロナによる前例のないショックの中で極度に低迷する経済情勢を踏まえて、政策金利の据え置きを決めた」と表明。

「経済復興を支援する余地を活用するため、インフレ率が持続的に鈍化するか(引き続き)警戒していく」と述べた。

ただ金融政策委員会は、緩和的な政策スタンスを「経済成長の再開に必要な限り長期にわたって」維持することを全会一致で決定した。

インド政府は新型コロナウイルスの流行を受けて、3月下旬に厳格なロックダウン(都市封鎖)を導入。6月から段階的にロックダウンを緩和したが、感染者の増加は続いている。

ロイター調査によると、4─6月のインド経済は20%のマイナス成長となる可能性がある。

エララ・キャピタルのエコノミスト、ガリマ・カプール氏はインフレ圧力が緩和すれば景気落ち込みに対応して今年度(2020年4月─21年3月)後半に25─50bpの利下げもあり得るとみている。

<不良債権問題に対応>

中銀は、不良債権が倍増すると予想される中、1回限りの融資の再編を認めると発表した。

ダス総裁によると、現行の不良債権処理の枠組み内で、銀行は法人向け融資債権を債権放棄せずに再編できるようにする。当該債権は正常債権という区分で変わらない。

L&Tフィナンシャル・ホールディングスのチーフエコノミスト、ルパ・レゲ・ニツレ氏は、モラトリアム(返済猶予)でなく債務再編のスキームを打ち出したことは金融安定の観点で賢明な措置と評価した。

ダス総裁は、新たな債務再編スキームについて、新開発銀行(BRICS開発銀行)元総裁のカマト氏を座長とする諮問委員会を設置すると明らかにした。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ヘッジファンド、銀行株売り 消費財に買い集まる=ゴ

ワールド

訂正-スペインで猛暑による死者1180人、昨年の1

ワールド

米金利1%以下に引き下げるべき、トランプ氏 ほぼ連

ワールド

トランプ氏、通商交渉に前向き姿勢 「 EU当局者が
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 2
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中