ニュース速報

ワールド

ビーガン米特別代表が韓国訪問、北朝鮮との会談模索は否定

2020年07月08日(水)14時07分

 米国の北朝鮮担当特別代表を務めるビーガン国務副長官は8日、ソウルで韓国政府と幅広い問題について協議した。8日ソウルで代表撮影(2020年 ロイター)

[ソウル 8日 ロイター] - 米国の北朝鮮担当特別代表を務めるビーガン国務副長官は8日、ソウルで韓国政府と幅広い問題について協議した。今回の訪問に合わせて北朝鮮当局者との会談を模索したとの報道を否定したが、協議再開には前向きな姿勢を示した。

ビーガン氏は韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会談。趙世暎(チョ・セヨン)外務第1次官や李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長とも会談した。

韓国政府関係者によると、協議では新型コロナウイルス対策や在韓米軍の駐留経費負担など、様々な問題が取り上げられたが、北朝鮮問題が主要議題となった。

康外相はビーガン氏との非公開会談に先立ち、ビーガン氏が政治的に重要な時期に韓国を訪問したと発言。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、北朝鮮問題を巡る人事を刷新したばかりだと述べた。

文大統領は新たな米朝首脳会談の開催を呼び掛けており、11月の米大統領選を前に、今回のビーガン氏の訪問で北朝鮮との対話再開を模索するのではないかとの観測が浮上していた。

ビーガン氏は李氏との会談後、「誤解のないように言っておくが、(北朝鮮)訪問は要請していない」とし、「今回の訪韓は親しい友人で同盟国である韓国の当局者と会うのが目的だ」と述べた。

ただ、北朝鮮が指定する時期にいつでも協議を再開する用意があるとも表明。「朝鮮半島の平和のために取り組みを続けることを期待しており、それが十分に可能だと考えている」とし、トランプ大統領の全面的な支持を得ていると述べた。

李氏によると、ビーガン氏は、北朝鮮が協議に復帰すれば米国は柔軟に対応し、「バランスの取れた合意」に応じる用意があるとの立場を再確認したという。

韓国政府関係者によると、ビーガン氏は韓国大統領府の徐薫(ソ・フン)新国家安保室長とも会談する可能性が高い。徐薫氏は、情報機関の職員として、米朝首脳会談の実現に貢献した。

北朝鮮外務省のクォン・ジョングン米国担当局長は7日、米国と対話するつもりはないと表明し、韓国に対し「他国の問題に干渉するのをやめる」よう求めている。

ビーガン氏はこうした発言を重視しない考えを示し、米朝首脳会談で示された「構想」を指針にすると述べた。

米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、トランプ大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と再会談することにオープンであり、会談は有益となる可能性があると考えている。VOAはグレー・テレビジョンが12日に放送を予定するトランプ氏のインタビューの発言として報じた。

ビーガン氏は以前、新型コロナの流行を考慮すると、大統領選前に米朝首脳が対面で協議する可能性は低いとの認識を示している。

延世大学のジョン・デルリー氏は、今回のビーガン氏の訪韓では、北朝鮮との対話再開よりも米韓の協調を重視する可能性が高いと指摘した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英GDP、8─10月は0.1%減 予想外のマイナス

ビジネス

日鉄が経営計画、30年度に実力利益1兆円以上 海外

ワールド

タイ首相、トランプ氏と12日夜協議 カンボジアとの

ビジネス

EXCLUSIVE-日銀、次回会合で中立金利の推計
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 4
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 5
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中