ニュース速報

ワールド

金融アクセス巡る英の提案、受け入れられない=EU首席交渉官

2020年07月01日(水)11時30分

 7月1日、欧州連合(EU)の対英交渉を率いるバルニエ首席交渉官(写真)は30日、金融街シティー・オブ・ロンドンにEU単一市場への完全なアクセスを認めるという英側の提案は、義務を負わずに恩恵だけを維持するもので「受け入れられない」と一蹴した。写真はベルギーで6月撮影(2020年 ロイター/Yves Herman)

[ロンドン 30日 ロイター] - 欧州連合(EU)の対英交渉を率いるバルニエ首席交渉官は30日、金融街シティー・オブ・ロンドンにEU単一市場への完全なアクセスを認めるという英側の提案は、義務を負わずに恩恵だけを維持するもので「受け入れられない」と一蹴した。

バルニエ氏は、英側の提案は、金融機関のEU向けサービスに関し、欧州大陸には最低限の経営資源と人員だけを配置し、主にロンドンで業務を継続するのを容易にしたい考えだと指摘。

実際には、英国に本拠地を置く銀行や保険会社の多くは、EUとEUを1月に離脱した英国の将来関係を巡る交渉結果にかかわらずEU向けサービスが継続できるよう、欧州大陸に新たな拠点を開設している。

バルニエ氏はシンクタンク、ユーロフィの会議で「単刀直入に言うと、英国の提案は受け入れられない。加盟国や欧州議会が受け入れることは決してない」と述べた。

EUと英国は、金融サービスの相互アクセスに関する同等性評価の期限を6月末に設定している。

バルニエ氏は、英国の金融規制がEUと同様のレベルにあり、市場アクセスを認める条件を満たしているかどうかを判断するために英国に提示した28項目の質問のうち、4項目しか回答を得ていないため、まだ判定はできないと説明。

英財務省は、英国とEUの双方が夏前に同等性評価を終わらせる意向だとし、規制は互いに類似しているため、シンプルな手続きになるはずだとした。

「英国は予定通り評価を終えており、EU側の見解について説明を受け次第、同等性について総合的に判断する用意がある」とした。

バルニエ氏は、英国が12月の移行期間終了後にEUとは異なる規制を導入する考えを示しているため、同等性評価が困難になっていると指摘。

また、同等性評価に基づく市場アクセスは保険や一般的な銀行融資、預金などの分野が対象外となっていることについて、今後の交渉で変わることはないと強調した。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は小幅続落、年末のポジション調整

ビジネス

中国航空会社2社、エアバス機購入計画発表 約82億

ワールド

コロンビア、26年最低賃金を約23%引き上げ イン

ワールド

アルゼンチン大統領、来年4月か5月に英国訪問
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 7
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中