ニュース速報

ワールド

米・サウジ・ロシア、原油減産巡り平行線 OPEC+会合に不透明感

2020年04月09日(木)08時38分

 4月8日、イランのザンギャネ石油相(写真)は石油輸出国機構(OPEC)宛ての書簡で、石油市場に対する明確な結果が期待できなければロシアなど非加盟産油国を加えた「OPECプラス」会合の開催には同意しないと伝えた。ウィーンで2018年12月撮影(2020年 ロイター/LEONHARD FOEGER)

[ドバイ/ロンドン 8日 ロイター] - 原油価格下支えのための協調減産を巡り、石油輸出国機構(OPEC)最大の産油国であるサウジアラビア、ロシア、そして世界最大の産油国である米国が、依然として意見の隔たりを埋められずにいる。

OPECにロシアなど非加盟産油国を加えた「OPECプラス」による会議が9日に迫る中、サウジとロシアは、米国などOPECプラスの枠組みに加わっていない産油国の協力が得られない限り、減産には合意しない構え。しかし、米国は繰り返し、米石油会社は原油安などを受けて既に生産量を削減しているとして、協調減産に加わらない考えを示している。

ロシアのペスコフ大統領報道官は、米国の産油量の自然減が国際的な減産に貢献していると見なされるかとの質問に対し「全く別の削減だ」と応じた。

米国では反トラスト法(独占禁止法)によって石油会社が共謀して価格をつり上げるカルテルが禁じられているが、法の専門家によると、州の規制当局や連邦政府が生産水準を下げるよう命じるのは可能。ただ、トランプ大統領は今週、OPECから米石油会社に減産を要請するよう求められてはいないと述べ、「状況を見守る」立場を示した。

トランプ氏は前週に、サウジとロシアが主導する形で日量1000万─1500万バレルの減産に踏み切る可能性があると述べているが、サウジは減産の幅や分担に関する合意がまとまったとは全く示唆していない。OPEC関係筋は7日、OPECプラスは米国など他の産油国の協力が得られない限り、大幅減産には合意しない構えだと話した。

タス通信が8日、エネルギー省当局者の話として報じたところによると、ロシアは日量160万バレルの減産を行う用意があると表明した。

<基準生産量が争点>

あるOPEC筋は、減産の基準生産量が争点になっていると指摘。4月に従来の日量1000万バレル弱から1230万バレルに増産したサウジは、4月の生産量を基準に減産量を決めるべきと主張しているという。これに対しロシアはあくまでも1―3月期の生産量を基準にすべきとの考えを崩していない。

イランのザンギャネ石油相は、石油市場に対する明確な成果が期待できなければ会合の開催には同意しない意向だ。

ザンギャネ氏は、ロイターが入手した7日付のOPEC宛て書簡で「来るべきOPECおよびOPEC非加盟国の閣僚級会合を巡る漠然とした状況は私にとって深刻な懸念だ」と指摘。「明確で合意を伴う結果(が期待されること)なしに」会合を企画することは始まる前から失敗したとのメッセージになりかねず、「現在の低価格環境をさらに悪化させる可能性がある」とした。

一方、米下院の共和党議員団50名は8日、サウジのムハンマド皇太子への書簡で、サウジが減産を通じた原油価格の安定化に取り組まない限り、両国の経済・軍事協力が危うくなると警告し、圧力を強めた。書簡は「サウジがこの人為的なエネルギー危機の収拾に向けて正当な行動を取らなければ、われわれは米政府に適切な報復措置を講じるよう促すことになる」としている。

上院共和党の議員らも、サウジが原油を減産しない場合、同国から米国製の防衛システムと米軍兵士を引き揚げる法案を3月に提出している。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

DBS、ドルヘッジ促す 「アジア通貨は低コスト」

ビジネス

SKハイニックス、韓国の半導体パッケージング工場に

ワールド

トルコ、イランへの外国介入に警告 米との交渉による

ビジネス

〔海外決算予想〕TSMC第4四半期過去最高益か、A
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 2
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    筋力はなぜパワーを必要としないのか?...動きを変え…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中