ニュース速報

ワールド

ロ大統領、憲法改正案を議会に提出 退任後の権力固めに布石

2020年01月21日(火)06時28分

ロシアのプーチン大統領は20日、政治システムの大幅な改革に向けた憲法改正案を連邦議会下院(ドゥーマ)に提出した。写真はミシュスチン新首相(左)とプーチン氏(2020年 ロイター/SPUTNIK)

[モスクワ 20日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は20日、政治システムの大幅な改革に向けた憲法改正案を連邦議会下院(ドゥーマ)に提出した。プーチン氏は2024年の任期切れをにらみ、15日に行った年次教書演説で議会の権限強化などに向けた憲法改正を提案。この日は検事総長の交代も発表し、目指す改革が政治システムを超えて広範に及ぶ可能性を示唆した。

プーチン大統領は15日の年次教書演説で、首相を含む政府の要職選定の権限を議会下院に移管することなどを含む「政治システムの大幅な改革」を表明。議会の権限強化に向けた憲法改正を提案した。これを受け、メドベージェフ首相は内閣総辞職を表明した。

こうした動きを通して現在67歳のプーチン氏が24年の任期終了後も権力を握り続ける公算が大きいとの見方が強くなっているが、プーチン氏は政治指導者が死ぬまで権力を掌握し続ける旧ソ連の慣習は支持しないとの立場を示している。

プーチン氏がこの日に下院に提出した憲法改正案の目玉の1つは、現在は単なる大統領諮問機関でしかない「国家評議会」の権限強化。提案によると、国家評議会には「内外政策の主要な方向性を決定する」広範な権限が付与され、大統領がメンバーを選定する。プーチン氏は大統領退任後の去就を明らかにしていないが、この国家評議会のトップに就任する可能性が取り沙汰されている。

検事総長については、06年から務めていたチャイカ氏の後任として、イーゴリ・クラスノフ連邦捜査委員会副委員長を指名。大統領府によると、チャイカ氏は別の職務に転出する。クラスノフ氏は44歳。連邦捜査委員会副委員長として15年に発生した野党指導者ボリス・ネムツォフ氏殺害事件などの重要事件の捜査に当たってきた。

プーチン氏が提案した改革に対し、野党は来月、抗議集会を開くと表明。野党指導者、イリヤ・ヤシン氏はプーチン氏が示した改革案は「永遠に権力を掌握する」ことを目指したものだと批判。「大規模な抗議集会が必要だ」と述べた。

下院は23日にプーチン氏の提案を討議する。プーチン大統領は改革を巡り国民投票を実施すると表明。ロシア通信( RIA)によると、提案の作成に関わったアンドレイ・クリシャス議員は議会承認を受け国民投票が実施される可能性があると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

チェコ、来月3日に連立合意署名へ ポピュリスト政党

ワールド

日中、高市首相と習国家主席の会談を31日開催で調整

ビジネス

トランプ氏「ガザ停戦脅かされず」、イスラエルは空爆

ワールド

エベレスト一帯で大雪、ネパール・チベット両側で観光
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 2
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 3
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 6
    「ランナーズハイ」から覚めたイスラエルが直面する…
  • 7
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 8
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 9
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 10
    怒れるトランプが息の根を止めようとしている、プー…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中