ニュース速報

ワールド

米下院委、トランプ氏の職権乱用・議会妨害を批判 弾劾報告書で

2019年12月04日(水)11時50分

米下院情報特別委員会は3日、ウクライナ疑惑を巡るトランプ大統領の弾劾調査報告書を公表した。下院多数派の民主党は、トランプ氏が来年の大統領選再選を狙って外国の選挙干渉を求めたほか、議会妨害も指示したと非難した(2019年 ロイター/JIM BOURG)

[ワシントン 3日 ロイター] - 米下院情報特別委員会は3日、ウクライナ疑惑を巡るトランプ大統領の弾劾調査報告書を公表した。下院多数派の民主党は、トランプ氏が来年の大統領選再選を狙って外国の選挙干渉を求めたほか、国家安全保障を危険にさらし、議会妨害も指示したと非難した。

情報委は3日夜、報告書を13対9の賛成多数で承認した。

弾劾手続きは今後、下院司法委員会に移る。司法委は4日から手続きを開始し、弾劾訴追を決定した場合、訴追状に当たる弾劾条項を作成する権限を持つ。

情報委の報告書は、公聴会や非公開証言で政府高官らが明らかにした内容をまとめたもので、300ページに上る。報告書では、トランプ氏にさまざまな職権乱用があったと指摘。自身が政治的に有利になるようウクライナのゼレンスキー大統領に圧力をかけるため、軍事支援やホワイトハウス訪問の約束を利用したと結論付けた。

トランプ氏が「国益より自身の私的・政治的な利益を優先させ、米大統領選の正当性を弱めるよう求めて、国家安保を危機にさらした」と非難した。

また、トランプ氏が議会の弾劾調査を妨害する「前代未聞の」取り組みを行ったとし、政権高官による資料提出や証言の拒否、政府高官の証言妨害や脅迫などがあったとした。

その上で「トランプ氏の不正の証拠は圧倒的で、議会妨害の証拠も同様だ」と批判した。

「大統領による議会妨害に歯止めをかけなければ、影響は長期に及び、取り返しのつかないものになる恐れがある」とも強調。「将来の大統領は自らの不正や汚職への調査に抵抗できると考えるようになり、米国は結果的にそうした不正や汚職のリスクがはるかに高い国になる」と警鐘を鳴らした。

民主党のシフ下院情報委員長は記者会見で「トランプ氏は自身を訴追や弾劾、あらゆる説明責任や法を超越した存在だと思っている」と批判した。

北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でロンドンを訪問しているトランプ氏は、民主党が2016年大統領選の結果を無効にしようと政治的な動機から弾劾手続きを利用しているとあらためて非難した。

ホワイトハウスのグリシャム報道官も、民主党は「一方的な見せかけの手続き」を行ったものの、大統領による不正の証拠は出てこなかったと反論した。

今回、これまで報道されていなかったトランプ氏の側近や共和党関係者の電話に関する新たな情報も明らかになった。

報告書では、マルバニー大統領首席補佐官代行やポンペオ国務長官、ペリー前エネルギー長官ら最側近が、ウクライナに圧力をかける上でトランプ氏に協力し、議会への情報提供も行わなかったと指摘した。

また、トランプ氏の顧問弁護士ジュリアーニ氏とその関係者、下院情報委の共和党トップであるデビン・ヌネス議員および米行政管理予算局(OMB)の間の数十回にわたる電話に言及している。

AT&Tから通話記録を入手したもので、同社は記録を提供したことを確認した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏大統領が訪中へ、脅威に対処しつつ技術へのアクセス

ワールド

アングル:トランプ政権のAIインフラ振興施策、岩盤

ビジネス

中国万科の債券価格が下落、1年間の償還猶予要請報道

ビジネス

午前の日経平均は反発、大幅安の反動 ハイテク株の一
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 2
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カニの漁獲量」が多い県は?
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    600人超死亡、400万人超が被災...東南アジアの豪雨の…
  • 9
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 10
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中