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アングル:ブレグジット再延期を要請、EUはどう動くか

2019年10月24日(木)07時56分

10月23日、英国は欧州連合(EU)に対し、10月31日の離脱期日を延長するよう要請している。写真はブリュッセルで17日、EU旗の前を歩くジョンソン英首相(2019年 ロイター/Toby Melville)

[ブリュッセル 23日 ロイター] - 英国は欧州連合(EU)に対し、10月31日の離脱期日を延長するよう要請している。EU諸国はこれを認めるのか。認める場合、延期はどのような形になるだろうか。

英下院は22日、ジョンソン首相がEUとまとめた離脱合意案の関連法案をスピード審議する議事日程を否決。これにより、31日の離脱はほぼ不可能な情勢となった。

トゥスクEU大統領は22日、EU加盟諸国に英国からの延期要請を了承するよう助言すると述べた。

ジョンソン首相は数日前、来年1月31日まで離脱を延期するようEUに要請したが、実際には英議会で離脱案を直ちに可決することにより、延期要請が反故になるよう望んでいた。

同首相の期待が砕かれたことで、ボールはEU側に戻された。英国以外のEU加盟27カ国はどう対応するのか。

<10月31日までに離脱合意に至る道はあるか>

ジョンソン首相の離脱合意案が数日中に下院で可決されたとしても、欧州議会の承認を得る必要性が残っている。欧州議会は今週は会期中だが、来週は休会の予定。

欧州議会は臨時会議を招集する可能性もあるが、あるEU高官は22日、極めて複雑な合意だけに、議会は時間をかけて精査したいと望むだろうと述べた。一部の議員は、英国のEU離脱(ブレグジット)に急ブレーキをかける「チャンスの匂いを嗅ぎつけている」という。

<EU27カ国は離脱延期を認めるか>

当初の離脱期限は今年3月29日で、27カ国は既に2度延期に合意している。

英国が国民投票で離脱を選んで以来、3年半に及ぶ作業に忙殺されてEU内では不満が募っており、EUは2度目の延期が最後になると通告している。最もしびれを切らしているのはフランスのマクロン大統領だ。

しかし、27カ国が英国の延期要請を拒否する可能性は小さい。ブレグジット問題はこりごりとはいえ、英国だけでなくEUの経済にも打撃を及ぼす「合意なき離脱」を避けたいとの思いが強く、それを引き起こしたとのそしりを受けることにも強い抵抗がある。

延期を了承するために27カ国が31日より前に臨時首脳会議を開く必要があるかどうかは不明。またトゥスク大統領が22日に示唆したように、「書面上の手続き」によって合意するかどうかも分からない。

<延期に条件はあるか>

フランスその他の国々はここ数週間、英国の政治状況が変わることが延期承認の条件だと明言している。具体的には総選挙か国民投票の再実施が想定される。

フランスのモンシャラン欧州問題担当相は22日、同国上院で「われわれは延期を要請されているが、何のためだ。大義は何だ」と述べた。同相の報道官が明らかにした。

他の加盟諸国が、延期了承の条件としてどの程度まで英政治の変化を求めるかは不明だが、延期には英国を除く27カ国すべての承認が必要なことを忘れてはならない。

<延期は1月31日までか>

27カ国はジョンソン氏の離脱合意案を可決するよう英議会に圧力をかけるため、1カ月、あるいはさらに短期間など、英国の要請よりも短い期間の延期しか認めない可能性もある。

調査機関「変わる欧州における英国」のディレクター、アナンド・メノン氏はロイターに対し、EUが1月31日までの延期を了承するととともに、準備が整えばそれ以前に離脱しても良いと英国に告げる可能性も考えられると述べた。このシナリオは一部で「フレクステンション(柔軟な延期)」と呼ばれている。

<より長期間の延期はあるか>

EUが自らの問題に取り組む時間を確保するとともに、英国に問題解決の時間を与えようと判断した場合には、6カ月、あるいは1年など、より長期間の延期を認める選択肢もあり得る。

総選挙か国民投票の再実施が明確になった場合には、それ以上の延期も可能かもしれない。

しかしEUはブレグジットの有無に関わらず2021年以降の長期予算を策定する必要があり、それがEUとしての事実上の期限になる。このため一部のEU高官や外交官は、英国は来年半ばまでに離脱か残留かはっきりさせる必要があるとしている。

ロイター
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