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米大統領、ハーレーに「高い税金課す」と警告 生産の国外移転で

2018年06月27日(水)10時11分

6月26日、トランプ米大統領は欧州向けオートバイの生産を米国外に移転させる方針を示したオートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソンに対し、高いの税金を課すと警告し、国民の反発で米国内の事業は危うくなると攻撃した。写真は2017年2月、ハーレーの代表と会合するトランプ大統領。ワシントンで撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン/シカゴ 26日 ロイター] - トランプ米大統領は26日、欧州向けオートバイの生産を米国外に移転させる方針を示したオートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソンに対し、高い税金を課すと警告し、国民の反発で米国内の事業は危うくなると攻撃した。

トランプ氏はツイッターへの投稿で「ハーレー・ダビッドソンのバイクは絶対に米国外で製造すべきではない!社員や顧客はすでに怒り心頭だ。生産を米国外に移転するのであれば、見ているがよい。終焉の始まりとなり、ハーレーは降伏し、終わりを迎える!オーラを失い、かつてない重税を課されることになる!」とし、「高額の税金を払うことなく、米国で販売することはできなくなることをよく覚えておくべきだ!」と攻撃した。

ハーレーは米国内での生産を維持する方針も示していることから、トランプ氏が言及する税金が何を意味しているかは明確ではない。

さらに「ハーレーは今年初旬、カンザスシティーの工場での生産の大半をタイに移転することを計画していた。これは関税導入よりもはるかに前の話であり、関税合戦や貿易戦争は言い訳にすぎない」と批判した。

ハーレーはトランプ氏のツイッターに関するコメントはないとしている。一方、生産の海外移転が国内製造設備に与える影響について検証しているとした。

同社は今年1月、国内需要の大幅な落ち込みを理由にカンザスシティー工場を閉鎖すると発表。同工場の業務をペンシルベニア州のヨークに統合するとしていた。

現在、タイで組み立て工場の建設を進めている。タイ工場建設計画は、米国の環太平洋経済連携協定(TPP)離脱表明から数カ月後の2017年5月に発表した。タイ工場では、東南アジア向け輸出のバイクのみ生産する。

マット・レバティック最高経営責任者(CEO)は2月にロイターとのインタビューで、タイ工場はカンザスシティー工場の閉鎖と何ら関係ないと述べている。

タイで生産することで、同国の高い輸入関税を回避でき、税制優遇措置も期待できる。また、タイから近隣諸国への輸出も可能だと同社は説明している。タイ工場は年内の稼働を予定している。

タイの他、ブラジルとインドにも組み立て工場がある。海外生産の強化には最低9カ月から1年半かかるという。

顧客の高齢化やブランド力の低下で落ち込む国内需要を埋め合わせるため、海外での販売台数拡大を目指している。

同社株価は前日6%近く下落。この日は約0.6%安で終了した。

*内容を追加します。

ロイター
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