ニュース速報

ワールド

アングル:北海ブレントが3年半ぶり80ドル台、今後の見通しは

2018年05月18日(金)16時31分

 5月17日、原油先物市場で北海ブレントが2014年11月以来初めて1バレル=80ドル台に乗せた。写真はテキサス州で2017年5月撮影(2018年 ロイター/Ernest Scheyder)

[ロンドン 17日 ロイター] - 17日の原油先物市場で北海ブレントが2014年11月以来初めて1バレル=80ドル台に乗せた。膨大な量に膨れ上がっていた原油在庫が一掃され、投資家は過去4年間で最も強気になっており、市場では100ドル超えを予想する声も出始めた。

原油は米国の対イラン制裁再開でイランの輸出が大きく落ち込む恐れがあるのに加えて、ベネズエラやメキシコ、アンゴラなどの大手産油国が自主的に生産を減らし、価格が持ち直した。

サウジアラビアが主導する石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどOPEC非加盟の産油国は昨年1月以来、日量180万バレルの減産を続けている。

地政学的懸念の高まりや需給は引き締まるとの見方を背景に、原油価格は2016年1月に付けた27ドルの13年ぶり安値から50ドル上昇。上昇率はこの1年に限っても50%に達した。

先物市場は期先の方が価格が高いプレミアムの状態となっており、投資家やトレーダーが当面供給が需要に追い付かないとみていることが分かる。

サウジは国営石油大手アラムコの新規株式公開(IPO)計画を進めており、原油価格は80ドルどころか100ドルでも良いと表明している。

もっとも、OPECなど産油国は自ら進める価格引き上げ策によって最終的にとばっちりを受けるかもしれない。国際エネルギー機関(IEA)は16日、原油の値上がりの大きさを考えると世界の需要の伸びが鈍化するのは間違いないと警告した。

一方、年初からのドル高で主要な原油輸入国は購買力が落ちている。インドやインドネシアなど多くの国が国内で燃料向け補助金の大盤振る舞いを中止したためだ。

OPECは非加盟国、具体的には米国の供給増という問題も抱えている。米国は今年末には生産量が日量1100万バレルに達し、世界最大の産油国になる見通しだ。

OPECの減産は米国のシェール油生産の増加で効果がそがれており、価格上昇による需要減退も重なることから、IEAやOPEC、米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)はいずれも警戒感を強めている。

北海ブレントの80ドル台乗せは短命で終わるかもしれない。

(Amanda Cooper記者)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ当局、エネルギー業界不正取引巡り7人を起

ビジネス

データセンター向け半導体は1兆ドル市場へ、利益3倍

ワールド

米の輸出制限ルール、一時停止後の取り決め協議継続へ

ワールド

シカゴの不法移民摘発責任者、今後は南部地域へ異動か
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 8
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 9
    【銘柄】エヌビディアとの提携発表で株価が急騰...か…
  • 10
    【クイズ】韓国でGoogleマップが機能しない「意外な…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中