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バフェット氏投資の5大商社、関係に前向き発言 決算会見で

5月9日、伊藤忠商事の鉢村剛最高財務責任者(CFO)は決算会見で、4月に来日した米著名投資家ウォーレン・バフェット氏との会談で、同氏が日本の大手商社5社の投資に「満足しており、長期的に(株式を)保有すると言及した」と語り、日本を米国に次ぐ重要国と位置付けていることが「日本にとっては極めて喜ばしい」と述べた。写真は都内で2016年11月撮影(2023年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 9日 ロイター] - 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの投資先である5大商社が9日までに決算を発表した。各社の経営幹部による会見では、同氏との会談や協業について前向きな発言が相次いだ。
三菱商事の中西勝也社長は協業に関して「できればいい」という話をしたといい、伊藤忠商事の鉢村剛最高経営責任者(CFO)は話し合いを続ける意向を示した。住友商事の諸岡礼二CFOは「前向きに検討する」と述べた。 バフェット氏は、2020年8月にそれぞれ5%だった伊藤忠、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事の5社の株式保有比率を昨年11月に6%超に引き上げた。今年4月には7.4%まで引き上げたことを明らかにしており、追加取得の可能性も示唆している。同氏が6日に開いたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会では、総合商社との協業にあらためて期待感を示した。 伊藤忠の鉢村CFOは、バフェット氏との会談では、同氏が5社の投資に「満足しており、長期的に(株式を)保有すると言及した」と語り、日本を米国に次ぐ重要国と位置付けていることが「日本にとっては極めて喜ばしい」と話した。 鉢村氏によると、バフェット氏が投資を始めた20年8月以降、同氏とは定期的に連絡を取り合ってきたが、同氏の希望により、5社のトップと直接面談して「意思疎通を深めたいという意向があった」という。 協業に関して、鉢村氏は「20年以降、常に(話題として)出てきている話で、バフェット氏側の対応も一貫して変わっていない」と説明。「特定分野ということではなく、長い目でみながら、いろいろな点の話し合いをずっとしてきており、今後もしていくだろう」と語った。 住商の諸岡CFOは、会談は「極めて友好的な雰囲気」だったと振り返った。事業方針など歴史を踏まえて説明したが、「あまり細かいところに立ち入ることはなく、非常に有意義だった」と述べた。協業に関しては「今後引き続きコミュニケーションを取る。具体的に何をというところは(まだ)ないが、サポート的な発言をいただいているので前向きに検討していきたい」と述べた。 三菱商の中西社長は、同氏が「すごく三菱商事のことをご存じで、勉強している」と指摘。中期経営計画の考え方や事業モデルの変遷、自社の強みなどを説明したいとの思いから、会談では「どういう会社でどういうことを目指しているのかを率直に話した」と述べた。協業については「できればいいなという話があっただけで、具体的な話には至っていない」と語った。 丸紅の柿木真澄社長は8日の決算会見で、「われわれ商社の経営陣は一応、今のところ合格点をもらえているのではないか」と述べた。協業については「具体的な話はしていない」とした上で、日本のものづくりを支える町工場のような中小企業に対する支援を提案したと明らかにした。 三井物産の堀健一社長は2日の決算会見で、会談ではビジネスモデルなどを説明したといい、「よく理解されていた印象を受けた」と述べた。グローバルなネットワークを生かした事業モデルや、エネルギーの転換期で利益を上げつつ将来の低炭素社会を実現する事業をどう作っていくかなどについても意見交換したという。