ニュース速報

ビジネス

再送カナダ中銀、0.25%利上げ 引き締め一時停止を示唆

2023年01月26日(木)12時12分

カナダ銀行(BOC、中央銀行)は、政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、15年ぶりの高水準となる4.5%とした。2017年5月、オタワで撮影(2023年 ロイター/Chris Wattie/File Photo)

(4段落目の誤字を修正して再送します)

[オタワ 25日 ロイター] - カナダ銀行(BOC、中央銀行)は25日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、15年ぶりの高水準となる4.5%とした。同時に世界の主要中央銀行として初めて、これまでの利上げの累積効果を見極めるために利上げをいったん停止する可能性を示唆した。

中銀はインフレ抑制に向け、10カ月間で4.25%ポイントという記録的なペースで利上げを実施。今回の0.25%ポイントの利上げはロイターが実施したエコノミスト調査の結果と一致した。

中銀は声明で「持続的な需要超過により物価に継続的な上昇圧力がかかっているため、利上げを決定した」と表明。経済が予測通りに推移すれば「累積的な利上げの効果の評価が行われる間、政策金利は現在の水準に維持されると予想する」とした。ただ「インフレ率を目標の2%に戻すために、必要に応じて政策金利をさらに引き上げる用意がある」とも表明した。

マックレム総裁は記者団に対し「インフレは峠を越しつつある。目標にはまだ程遠いが、このところの動きを受け、物価上昇は緩和しつつあるとの確信を強めている」とし、「われわれは急速に金利を引き上げてきたが、今はいったん停止し、インフレ率を目標の2%に戻すために金融政策が十分に制限的かどうかを評価する時だ」と述べた。

一方、「正確には、これは条件付きの一時停止だ」とも指摘。インフレ見通しには上振れリスクがあるとし、「上振れリスクが顕在化すれば、さらに利上げを行う用意がある」と述べ、必要であれば追加利上げをためらわないとの考えを明らかにした。

短期金融市場では、カナダ中銀が10月にも利下げに転じる可能性があるとの見方が出ている。

これについてマックレム総裁は「利下げついて語るには時期尚早だ」とし、「一時停止するのは、インフレ率を目標に戻すために十分な利上げを行ったかを評価する時間を得るためだ」と語った。

TD証券のカナダ担当チーフストラテジスト、アンドリュー・ケルビン氏は「これまでに実施された金融引き締めですでに経済は減速しており、大部分のシナリオの下で、一段の利上げの必要はないと中銀が確信しているのは明らかだ」と指摘。

デジャルダンのディレクター兼マクロ戦略責任者、ロイス・メンデス氏は「中銀はフォワードガイダンスを再び使うようになった」とし、「少なくとも向こう数カ月は利上げサイクルはいったん停止される」との見方を示した。

<インフレ率、来年に目標近辺に低下>

中銀は四半期ごとの金融政策報告書で、2023年の経済成長は昨年10月に示した予測よりも強くなるとしながらも、上半期に失速するとの見方を示した。

物価情勢については、インフレ率は年央に3%近辺に低下し、来年には目標近辺に戻ると予想。食料費や住居費の上昇が家計に重くのしかかり、総合インフレ率は依然として高水準にあるとしながらも、「3カ月消費者物価指数(CPI)は3.5%近辺に低下しており、今後数カ月でインフレが大幅に鈍化することが示唆されている」とした。

今年の経済成長率は1%と予想。昨年10月時点の予想は0.9%だった。インフレ率は平均3.6%で推移すると予想。前回予想は4.1%だった。

24年については、インフレ率は平均2.3%で推移すると予想。前回予想は2.2%だった。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中