ニュース速報

ビジネス

インタビュー:米利上げ急ピッチ、状況次第で「金融協力加速」=浅川ADB総裁

2022年09月23日(金)18時45分

 9月23日 アジア開発銀行(ADB)の浅川雅嗣総裁は23日、米連邦準備制度理事会(FRB)による急ピッチな利上げに伴う域内での金融危機リスクに備え、日中韓と東南アジア諸国が集まる「ASEANプラス3」で金融協力強化の議論を加速させる必要があるとの考えを示した。写真はロイターのインタビューに答える浅川氏。2019年11月、東京で撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 23日 ロイター] - アジア開発銀行(ADB)の浅川雅嗣総裁は23日、米連邦準備制度理事会(FRB)による急ピッチな利上げに伴う域内での金融危機リスクに備え、日中韓と東南アジア諸国が集まる「ASEANプラス3」で金融協力強化の議論を加速させる必要があるとの考えを示した。近く開かれるADB総会に先立ち、ロイターのインタビューに応じた。

1997年7月のアジア通貨危機では、各国の急激な通貨下落(減価)を招いた。浅川総裁は「当時に比べればアジア地域の経常収支は改善し、外貨準備も積み上がっている。チェンマイ・イニシアチブ(通貨協定)も結び、システム全体としての金融危機への耐性は格段に高まっている」と語った。

一方、金融・資本市場の動きが荒い現状に「しっかりモニタリングする必要はある」と指摘し、「場合によってはASEANプラス3で話してきた金融協力強化の議論を加速化させ、いざという場合の備えをしておくことが必要」と述べた。

状況が悪化した場合には「アジアの途上国が介入して自国通貨の減価を抑えたり、最終的には資本規制を導入することもツールのひとつとしてはあり得る」とした。「今はそこまではいっていない」との認識も併せて示した。

域内の中央銀行が年明け以降、政策金利を引き上げ始めたことに関しては「自国通貨に対して減価圧力がかかっているからだと思う」と語った。

ただ、浅川総裁は「結果的に減価していないかというと減価もしている。(域内中銀は)バランスを取りながらやっていると思うが、プルーデントな金融政策をやって欲しいし、まさに今、そういう方向で注意深く各国中銀が対応している途上」と述べた。

アジア各国の税収が対国内総生産(GDP)比で15%程度と、経済協力開発機構(OECD)平均の30%台半ばを下回る現状を踏まえ、「逆に言えば租税政策の改革などを通じて税収を上げていく余地がある」とも指摘。「途上国の間で税の議論を活発化させ、税収を上げて対外借り入れを減らす道を中期的には実現すべき」と語った。

(梶本哲史、木原麗花、山口貴也 編集:久保信博)

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、自身のSNSに投稿された人種差別

ビジネス

アングル:インド「高級水」市場が急成長、富裕層にブ

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、リスク資産反発受け 円は衆

ワールド

トランプ氏、インドへの25%追加関税撤廃 ロ産石油
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 2
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 3
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 4
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 7
    鉱物資源の安定供給を守るために必要なことは「中国…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 10
    日経平均5万4000円台でも東京ディズニー株は低迷...…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 8
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 9
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 10
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中