ニュース速報

ビジネス

インフレの「迅速な」低下に「強くコミット」=FRB議長

2022年06月23日(木)00時21分

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は22日、FRBは40年ぶりの高水準で推移するインフレを引き下げることに「強くコミット」しており、「そのために迅速に」行動していると述べた。3月撮影(2022年 ロイター/Tom Williams)

[22日 ロイター] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は22日、FRBは40年ぶりの高水準で推移するインフレを引き下げることに「強くコミット」しており、「そのために迅速に」行動していると述べた。上院銀行委員会での証言に向けた原稿で明らかになった。

パウエル氏は「全ての人に恩恵をもたらす強い労働市場の状況を持続させるためにはインフレ率を引き下げることが不可欠だ」と表明。「FRBの目的は、労働市場が堅調なうちにインフレ率を2%まで低下させることだ。ただ、その可否を決定する上で、われわれがコントロールできない多くの要因が非常に重要な役割を果たすことが判明しつつある」とし、達成に向けた道筋はあるが、それは一段と困難になっているとの見解を示した。

政策金利の継続的な引き上げは適切だとし、利上げペースについては「今後のデータと経済の進展する見通しに引き続き左右される」と繰り返した。その上で、「インフレは明らかに過去1年間で驚くほど上昇した。一段のサプライズが待ち受けているかもしれない」とも指摘。政策立案者は今後の指標と刻々と変化する見通しに対応するため「機敏」である必要があるとし、今後数カ月、物価上昇圧力が緩和したかどうか「説得力のある証拠」を探すことになるとした。

パウエル氏によると、入手可能な5月のデータでは、コア個人消費支出(PCE)価格指数は4月の前年同月比4.9%上昇のペースを維持するか、わずかに緩和した可能性がある。4─6月期の実質国内総生産(GDP)は拡大し、個人消費も引き続き堅調という。

一方、企業の設備投資は減速しており、住宅部門もローン金利の上昇を受けて軟化しているもようとした。

また労働需要は「非常に強く」、労働供給は抑制され労働参加率は1月以来ほとんど変化が見られていないとした。

その上で、これまでの措置と今後予想される措置の両方を反映し、金融情勢は「著しく」引き締まったと指摘。金融引き締めは、引き続き成長を抑制し、需要と供給のバランスを取るのに寄与するとした。

パウエル氏の証言は、2月にFRBが議会向けの半期金融政策報告を提出して以降3カ月間に、インフレを巡る状況がいかに変化したかを示すものとなった。

当時、6%に達したインフレ率は「年内に低下すると予想される」としていた。今年に入り150ベーシスポイント(bp)の利上げを行ったにもかかわらず、インフレ低下の兆候はほとんど見られていない。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾軍、新総統就任前後の中国の動きに備え

ビジネス

英アストラゼネカが新型コロナワクチン回収開始、需要

ワールド

ルーマニア、「パトリオット」供与で協議の用意 米と

ビジネス

郵船、発行済み株式の7.6%・1000億円を上限に
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 6

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 10

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中