ニュース速報

ビジネス

トヨタ、小型セダンのEVを中国に来年投入 BYDの電池技術=関係者

2021年12月03日(金)07時12分

 トヨタ自動車が、価格を抑えた小型セダンの電気自動車(EV)を中国市場に来年投入することが分かった。4月19日、上海で撮影(2021年 ロイター/Aly Song)

[北京 3日 ロイター] - トヨタ自動車が、価格を抑えた小型セダンの電気自動車(EV)を中国市場に来年投入することが分かった。合弁相手の中国EVメーカー、比亜迪股分有限公司(BYD)と協業し、課題としてきた電池の小型化とEVの低コスト化を実現した。事情に詳しい関係者4人が明らかにした。

新型EVは「カローラ」よりやや大きく、中国向けの専用車となる。来年4月の北京モーターショーでコンセプトモデルを披露し、2022年末までに発売する。トヨタはEV専用車台を使った新たなブランド「bZ」を立ち上げており、中国市場では同シリーズ2車種目の投入となる見通し。

関係者2人によると、価格は20万元(3万ドル、350万円)を下回る見込み。米テスラの「モデルY」や中国ニオの「ES6」といった高級車セグメントより下の価格帯だが、中国国内で最も売れている超格安の「宏光ミニEV」よりはずっと高額で、2年以内の発売がうわさされるテスラの新たな小型車などと競合する可能性がある。

トヨタ広報はロイターの問い合わせに対し、「将来の商品についてはコメントできない」とした上で、「カーボンニュートラル(脱炭素化)に向けた1つの有力な手段としてバッテリーEVに注目し、開発に取り組んでいる」と回答した。

トヨタはEVの普及には小型かつ快適性を犠牲にしない車が必要と考えてきた。EVの多くは重くかさばる電池を床下に置くためフロアが高くなり、小型車では車内に十分な空間を確保するのが難しかったが、BYDが開発した薄型のリチウムイオン電池の技術を使うことでデザインに柔軟性が生まれた。

トヨタの関係者の1人はBYDの電池について「小型EVを作ることの難しさを解消してくれる技術」と説明。「目からうろこの技術で、最初から否定してしまいそうな構造だったが、いろいろ評価をやってみても問題は出なかった」と話す。

BYDの広報はロイターの問い合わせにコメントを拒否した。

トヨタはbZシリーズの第一弾として、22年に中型SUV(スポーツ多目的車)「bZ4X」の投入を計画している。

トヨタとBYDは19年にEV分野で共同研究を進めることで合意。20年4月に折半出資で広東省深セン市に合弁会社を設立した。

(白水徳彦 編集:久保信博、田中志保)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ステファニク下院議員、NY州知事選出馬を表明 トラ

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、11月速報値は約3年半ぶ

ワールド

イラン大統領「平和望むが屈辱は受け入れず」、核・ミ

ワールド

米雇用統計、異例の2カ月連続公表見送り 10月分は
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 9
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 10
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中