ニュース速報

ビジネス

英中銀、大規模緩和維持 インフレ率一時3%超えると予想

2021年06月25日(金)00時36分

6月24日、イングランド銀行(英中央銀行)は金融政策委員会で、経済活動の再開に伴いインフレ率が3%を超えるとの見通しを示したものの、中銀の目標水準を超える物価上昇は「一時的」とし、政策金利と資産買い入れ枠を現行水準に維持することを決定した。写真は6月11日、ロンドンの英中銀(2021年 ロイター/Henry Nicholls)

[ロンドン 24日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は24日まで開いた金融政策委員会で、経済活動の再開に伴いインフレ率が3%を超えるとの見通しを示したものの、中銀の目標水準を超える物価上昇は「一時的」とし、政策金利と資産買い入れ枠を現行水準に維持することを決定した。

金融政策委は9対0で政策金利を過去最低水準の0.1%に据え置くことを決定。社債買い入れ枠を200億ポンドに据え置くことも全会一致で決定した。国債買い入れ枠の8750億ポンド(1兆2200億ドル)での維持は8対1で決定。資産買い入れ枠は8950億ポンドに維持された。

国債買い入れ枠については、ハルデーン理事が500億ポンドの削減を提案。2回連続での反対となった。同理事は今月、退任する。

一部では、より多くの反対票が投じられるとの見方も出ていた。反対票が多ければ、新型コロナウイルス感染拡大への対応として導入された大規模な支援策の解除を巡る討議が中銀内で加速している兆候となる。

ただ、新型コロナ感染が再拡大し、欧州連合(EU)離脱を巡る緊張も解消しない中、中銀は現時点で支援策を引き揚げる必要はないと強調。声明によると、大部分の金融政策委員が「見通しに対する下向きリスクに留意し、金融情勢の尚早な引き締めで回復が頓挫することがないようにする」との認識を示した。

金利先物は、中銀が2022年8月に主要政策金利を0.25%に引き上げる確率が100%であることを示す水準にある。

バリダス・リスク・マネジメントのグローバル市場担当プリンシパル、マーク・コグリアッティ氏は「景気回復の兆候が示される中、中銀が22年下半期に利上げに着手するとの予想を変えていない」としながらも、「インフレ率が中銀の目標を根強く上回り、予想通りに低下しなければ、中銀がより早い段階で行動を起こすことは正当化される」と述べた。

英国立統計局(ONS)が16日に発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.1%上昇。伸び率は2019年7月以来の大きさで、中銀が目標とする2.0%を上回った。

中銀は「エネルギーを含むコモディティー価格の上昇が主な要因となり、CPIは目標を一段と超えて上昇し、一時的に3%を上回る公算が大きい」とし、「一過性の可能性がある要因よりも、むしろ中期インフレ期待」を注視していく姿勢を示した。

中銀は先月、インフレ率は21年終盤に2.5%に達し、その後は2%に戻るとの見方を示していた。

経済成長率については、今年第2・四半期の成長率予想を5月時点の見通しから約1.5%ポイント上方修正。ただ中期的な成長も加速するかについては、中銀内で見解が分かれた。中銀は物価動向に注目しながら、失業率の上昇についても警戒している。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、米株高を好感 ファストリ

ワールド

訂正ブラジル大統領、米50%関税に報復示唆 緊張緩

ワールド

英首相がトランプ氏と会談へ、月内のスコットランド訪

ワールド

米国務省、人員削減計画を近く開始 影響受ける職員に
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中