ニュース速報

ビジネス

米財務長官、債務上限の引き上げ訴え 「8月中にデフォルトも」

2021年06月24日(木)07時48分

イエレン米財務長官は23日、連邦政府の債務上限を早急に引き上げるか上限適用を停止するよう議会に要請するとともに、このままでは8月中にも米国が債務不履行(デフォルト)に陥る深刻なリスクがあると警告した(2021年 ロイター/Greg Nash)

[ワシントン 23日 ロイター] - イエレン米財務長官は23日、連邦政府の債務上限を早急に引き上げるか上限適用を停止するよう議会に要請した。また、このままでは8月中にも米国が債務不履行(デフォルト)に陥る深刻なリスクがあると警告した。

上院歳出小委員会での証言で「国債のデフォルトは考えられないことで、債務上限を引き上げなければ、経済に壊滅的な影響を及ぼすことになる」と指摘。金融市場の不確実性を回避するため、現行の上限適用停止措置が7月末に失効するまでに、財務省の借入継続を認める新たな債務上限法案を議会で可決すべきと訴えた。

財務省は過去に債務上限の問題に直面した際、連邦職員退職年金基金への拠出を停止するといった緊急の資金繰り措置を動員して財源を賄い、デフォルトを回避した。

イエレン氏は緊急の資金繰り措置をどれだけ長く実施できるか問われ、新型コロナウイルス救済の財政出動が政府歳出の流れを一段と不透明にしたと回答。財務省の緊急策は、議会が夏季休会入りする8月にも尽きる可能性があると述べた。

緊急策が尽きれば、財務省は税収のみで出費を賄う必要が生じ、その後も国債の新規発行ができない状態が続けば、やがて利払い費の手当てにも窮する。

イエレン氏は、法人税の国際最低税率導入について、来月開かれる20カ国・地域(G20)財務相会合で支持が得られるよう期待していると表明した。

主要7カ国(G7)は、各国共通の最低法人税率を15%以上に設定する米提案や、大規模かつ高収益の多国籍企業が事業を展開する国での新たな課税方法を支持しており、イエレン氏はG20会合でもG7と同様の合意がまとまるよう米財務省は取り組んでいると説明した。

ロイターが確認した共同声明草案によると、G20財務相は7月9─10日の会合で法人税の国際最低税率導入を支持し、10月に実行の枠組みを承認できるよう事務作業の完了を求める方針だ。

イエレン氏はまた、共和党議員によるインフレ懸念に関する追及に対し、最近のインフレ加速は供給制約など一過性の現象を反映しているとの見方を改めて示した。

大半のインフレ期待の指標は引き続き安定推移しており、1年以上先の期待インフレ値は米連邦準備理事会(FRB)の目標である2%近辺で安定していると指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏の州兵派遣措置、費用は3.4億ドル=上院

ビジネス

EU、内燃エンジン車販売禁止計画を断念=欧州人民党

ビジネス

米コストコ9-11月売上高・利益が予想超え、年末商

ビジネス

米FRB、11地区連銀総裁を再任 全会一致で
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 4
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 5
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 6
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 7
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 8
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 9
    ピットブルが乳児を襲う現場を警官が目撃...犠牲にな…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中