ニュース速報

ビジネス

コロナワクチン有効率50%を要件にせず=欧州医薬品庁

2021年06月18日(金)02時08分

欧州医薬品庁(EMA)は17日、新型コロナウイルスワクチンについて、臨床試験(治験)で少なくとも50%の有効率が確認されることを要件としないと表明した。写真は2020年12月撮影(2021年 ロイター/Piroschka van de Wouw)

[ベルリン 17日 ロイター] - 欧州医薬品庁(EMA)は17日、新型コロナウイルスワクチンについて、臨床試験(治験)で少なくとも50%の有効率が確認されることを要件としないと表明した。

独キュアバックは16日、同社が開発する新型コロナワクチンについて、後期治験で有効性が47%と判明し、主要目標に達しなかったと発表した。

EMAのワクチン評価チーム責任者マルコ・カバレリ氏は記者団に対し「全ての治験データを収集し、地域や年齢層のほか、変異株についても、結果を詳細に分析する必要がある」と述べた。

米食品医薬品局(FDA)は新型コロナワクチンの承認には少なくとも50%の有効率が示される必要があるとしているが、EMAは昨年11月、有効率の最低ラインは設けないと表明していた。

キュアバックが開発するワクチンは、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチン、および米モデルナ製ワクチンと同様に「メッセンジャーRNA(mRNA)」技術を使うもの。ファイザー製とモデルナ製の有効率が90%を超えているのに対し、見劣りした。

キュアバックの治験責任者で、チュービンゲン大学付属病院のピーター・クレムスナー氏はロイターに対し、mRNAの容量を低水準に抑えていることが要因だった可能性があると見方を示した。

クレムスナー氏によると、ファイザー・ビオンテックとモデルナとは異なり、キュアバックはmRNAを加工しないままワクチンに使用しており、副反応が起きる可能性があるため、容量を増やすことができない。

1回の接種容量当たりのmRNAはファイザー・ビオンテック製が30マイクログラム、モデルナ製が100マイクログラムなのに対し、キュアバック製は12マイクログラム。キュアバックは低用量のワクチン開発を目指しているが、今回の結果で全てのmRNAワクチンが同じでないことが浮き彫りになった。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、不法滞在者の送還拡大に言及 「全リソー

ビジネス

焦点:日鉄、巨額投資早期に回収か トランプ米政権の

ビジネス

香港取引所、東南アジア・中東企業の誘致目指す=CE

ワールド

米ミネソタ州議員射殺事件、容疑者なお逃走中 標的リ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中