ニュース速報

ビジネス

カナダドル高、さらに進めば輸出や金融政策に影響=中銀総裁

2021年05月14日(金)11時52分

カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁は13日、量的緩和など新型コロナウイルス対策の一部が所得格差の拡大をもたらす恐れがあるとして、この問題を注視していく考えを示した。写真はマックレム総裁。2020年9月撮影(2021年 ロイター/Blair Gable)

[オタワ 13日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁は13日、カナダドルが一段と上昇すれば輸出や企業投資への打撃となり、金融政策にも影響を及ぼすとの考えを示した。

総裁はこの日、大学生向けにオンラインで講演。講演後記者団に「(カナダ)ドル高はリスクだと強調してきた」と述べ、「さらに急速に(カナダドル高が)進めば、われわれの見通しに影響を与える。金融政策において考慮しなければならないことだ」とコメントした。

商品価格高を背景に、中銀が4月に最新の景気見通しを示して以降、カナダドルは約4%上昇、12日には6年ぶり高値を付けた。カナダは原油や鉱物などの主要輸出国。

総裁は講演で、量的緩和など新型コロナウイルス対策の一部が所得格差の拡大をもたらす恐れがあるとして、この問題を注視していく考えを示した。

量的緩和は需要の刺激や雇用の創出に役立つ一方、資産価値を膨らませて富を増やしていると指摘。「当然のことながら、増えた資産は社会全体に均等に分配されているわけではなく、結果として量的緩和は富の不平等を拡大させる可能性がある」と述べた上で、「国内外で量的緩和がもたらす影響を注意深く見極め、所得と富の不平等に対する影響をより完全に理解するよう努める」と表明した。

中銀は先月、毎週の国債の純買い入れ目標を従来の40億カナダドルから30億カナダドルに縮小するとともに、来年にも利上げに踏み切る可能性を示唆した。

マックレム総裁は、インフレ率が目標の2%を持続的に達成するまで、金利は現在の0.25%にとどまると繰り返し述べたほか、「完全な回復」を後押しするために金融政策手段を活用し続けると強調した。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は初の5万2000円台、AIなどに個別物色

ビジネス

小売業販売額9月は前年比+0.5%、コメ値上げなど

ワールド

ガザでの虐殺分からないのか、トルコ大統領が独首相と

ビジネス

足元で一方的・急激な動きみられる=為替で片山財務相
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面に ロシア軍が8倍の主力部隊を投入
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 9
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 10
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中