ニュース速報

ビジネス

日鉄、国内の高炉1基休止 海外の生産増強へ設備投資5年で2.4兆円

2021年03月05日(金)20時00分

日本製鉄は5日、国内の高炉休止を含めた生産体制の見直しを発表した。輸出の拡大で国内生産規模を維持する事業構造の継続は困難と判断。今後5年間で2兆4000億を設備投資に振り向け、海外生産を増強する。写真は同社のロゴ、2019年3月撮影(2021年 ロイター/Yuka Obayashi)

[東京 5日 ロイター] - 日本製鉄は5日、国内の高炉休止を含めた生産体制の見直しを発表した。輸出の拡大で国内生産規模を維持する事業構造の継続は困難と判断。今後5年間で2兆4000億を設備投資に振り向け、海外生産を増強する。年間1億トンの粗鋼生産能力の構築を目指し、国内外の生産比率を逆転させる。

国内の粗鋼生産能力は2024年度末までに年間約1000万トン削減し、4000万トンにする。東日本製鉄所・鹿島地区の第3高炉と関連設備を同年度末をめどに休止する。和歌山県の高炉1基の休止時期を1年前倒しする。厚板、建材、鋼管、薄板などの各事業も21―24年度をめどに一部ラインを休止し、生産を集約する。

一方、海外は需要地での一貫生産体制を拡充。将来的にグループ全体で1億トンの粗鋼生産体制を構築する。アルセロールミッタル・ニッポンスチール・インディア(AM・NSインディア)の能力を拡張。中国や東南アジアなどで一貫製鉄所を買収、あるいは資本参加を検討する。5年間で合わせて6000億円を投じる。

1億トンのうち、国内は4400万トンとする一方、海外を5000万トンに引き上げる。現在はそれぞれ5400トン、1600万トン。

会見した橋本英二社長は、「余剰能力があることで経営資源の配分、営業にも無理なプレッシャーがかかる」と説明。「将来ともに採算性が維持できるラインかどうかを今一度見直さなければならない」と語った。また、鉄鋼産業は中国の参入などで「かつてとは全く違う産業になっている」とし、「技術、商品力が活きるところに(経営資源を)シフトさせていく」と述べた。

世界的に環境問題への関心が高まる中、2050年に脱炭素を目指す方針も発表した。政府の政策と連携しながら、二酸化炭素(CO2)の削減技術を開発する。新技術は研究開発費として約5000億円、実用化する費用として約4─5兆円の投資を見込む。日鉄は、50年の粗鋼製造コストが少なくとも「現状の倍以上になる可能性がある」としている。

このほか、生産・業務プロセスをデジタル化で改善するため、5年で1000億円を投じる。

*内容を追加しました。

(白木真紀、平田紀之)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU、ロシア中銀資産の無期限凍結で合意 ウクライナ

ワールド

ロシア、ウクライナ南部の2港湾攻撃 トルコ船舶3隻

ワールド

タイとカンボジアが攻撃停止で合意、トランプ氏が両国

ビジネス

FRB現行策で物価目標達成可能、労働市場が主要懸念
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中