ニュース速報

ビジネス

NZ中銀、政策金利を0.25%に据え置き 資産買入規模も維持

2021年02月24日(水)15時51分

ニュージーランド準備銀行は24日、政策金利を予想通り0.25%に据え置いた。資産買い入れプログラムの規模も1000億NZドルで維持した。写真は同中銀の正面玄関、2017年7月撮影(2021年 ロイター/David Gray)

[ウェリントン 24日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は24日、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を予想通り0.25%に据え置いた。

また、資産買い入れプログラムの規模を1000億NZドル(732億4000万米ドル)で維持。借り入れコストの低下を促す資金供給プログラム(FLP)も据え置いた。

中銀は、インフレと雇用に関する責務を果たすためには現行の金融政策による景気刺激を維持する必要があるとの認識を示した。

声明では「消費者物価上昇率が目標の中間である年2%に維持され、雇用が最大の持続可能水準に達するかそれを上回ると確信できるまで、現在の景気刺激的な金融状況を維持することで委員会は合意した」とし、これらの要件を満たすにはかなりの時間と忍耐が必要だと続けた。

オア総裁は記者会見で中銀が物価上昇率や雇用の目標達成について「確信を得られるまでにはある程度時間がかかるだろう。これらの結果を確認し、その原動力を理解する必要がある」とした。

中銀は忍耐強くあるべきで、各国中銀が拙速に金融政策を正常化した過去の危機から教訓を得る必要があるとした。

中銀は声明で、最近の国内経済の底堅さは、現時点で大規模な追加刺激策が必要ないことを示唆しているとも指摘した。

一方で、先行きの経済見通しは依然として「極めて不透明」とし、「こうした不透明感が企業投資や家計支出の伸びを抑制する」との見方を示した。その上で、長期的な金融緩和がなければ、インフレと雇用は中期的に目標を下回る状況が続く公算が大きいとした。

オア総裁は「金融状況がわれわれが必要としている状態と整合的でなくなったと判断した場合に中銀は対応する用意があり、OCRを引き下げることが可能」と述べた。

中銀の先行きへの慎重な見通しは一部の市場参加者を失望させた。中銀が昨年11月の政策決定会合以来の経済情勢の改善を認めるとの期待が市場ではあった。

一部のアナリストは景気の改善によって緩和縮小論が強まるとみている。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ベン・ウディ氏は「きょうの中銀はハト派的なトーンだったが、われわれは来年に利上げが開始されるとの予想を変えていない」と述べた。

また「中銀は追加緩和の用意があり、マイナス金利の導入も可能だと強調したが、中銀の経済予測を踏まえると、緩和の必要性は低下する可能性が高い」との見方を示した。

一方、ウェストパック銀行は中銀の声明は来年の利上げ論をけん制する内容だったと指摘し、2024年までOCRが現行水準で維持されると予想した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ヨルダン川西岸のパレスチナ人強制避難は戦争犯罪、人

ワールド

アングル:日中関係は悪化の一途、政府内に二つの打開

ワールド

「きょうの昼食はおすしとみそ汁」、台湾総統が日本へ

ビジネス

日経平均は5日ぶり反発、エヌビディア決算でAI関連
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 8
    ホワイトカラー志望への偏りが人手不足をより深刻化…
  • 9
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 10
    衛星画像が捉えた中国の「侵攻部隊」
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 7
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中