ニュース速報

ビジネス

中国成長率、第4四半期は予想上回る+6.5% 通年は+2.3%

2021年01月18日(月)17時43分

 1月18日、中国国家統計局が発表した2020年第4・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.5%増と第3・四半期の4.9%増から伸びが加速し、ロイターがまとめたエコノミスト予想(6.1%増)を上回った。北京で15日撮影(2021年 ロイター/Tingshu Wang)

[北京 18日 ロイター] - 中国国家統計局が18日発表した2020年第4・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.5%増と第3・四半期の4.9%増から伸びが加速し、ロイターがまとめたエコノミスト予想(6.1%増)を上回った。新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた厳しい年を驚くほど良好な状態で締めくくり、2021年には景気はさらに拡大する見通しだ。

2020年のGDPは前年比2.3%増加し、多くの国が新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受ける中、主要国で唯一プラス成長を維持した。

ANZ(上海)のエコノミスト、XING ZHAOPENG氏は「一部のセクターは依然として回復局面にあるものの、GDPが予想を上回ったことは、中国経済が拡大局面に入ったことを示している」と指摘した。

湖北省武漢を発生源とする新型コロナの感染が国内で拡大する中、第1・四半期には成長率がマイナス6.8%に落ち込んだが、厳しい感染抑制策と政策支援を背景に中国経済は着実に回復してきた。

輸出セクターが予想以上の底堅さを示し、成長のけん引役となっている。

ただ昨年の成長率は1976年以来の低水準となり、新型コロナによる世界的な影響の大きさを反映した。

第4・四半期GDPは前期比では2.6%増加。市場予想は3.2%増だった。第3・四半期は3.0%増に改定された。

20年の小売売上高は3.9%減少し、1968年以来のマイナスを記録。国内消費の弱さを反映した。12月の小売売上高は前年同月比4.6%増と予想の5.5%増を下回り、11月(5.0%増)から鈍化した。衣料品、化粧品、通信、自動車が伸び悩んだ。

一方、12月の鉱工業生産は前年同月比7.3%増と2019年3月以来の高い伸びを記録。ロイターがまとめたアナリスト予想の6.9%増を上回った。9カ月連続の増加。製造業は好調な輸出を背景に新型コロナウイルス危機からの回復が続いている。11月は7.0%増だった。

2020年の固定資産投資は前年比2.9%増。予想は3.2%増だった。1ー11月の2.5%増から加速した。

国家統計局の寧吉哲局長は記者会見で、足元の新型コロナウイルス感染再拡大による中国経済への影響は制御可能だとの見方を表明した。中国にはコロナ抑制の経験と能力があるとした。

国内市場は巨大で、サプライチェーンもしっかりしているとし、当局は多くの好ましい条件が今年の景気回復を支えると見込んでいると続けた。

<21年も漂うリスク>

中原銀行(北京)のチーフエコノミスト、Wang Jun氏は「2021年は以下の問題に警戒するべきだ」とし、「まず、景気回復の不均衡だ。投資や輸出に比べ、消費は全体として弱く、まだ正常な水準に戻っていない」と指摘。「2つ目は過剰で急激な信用収縮の問題だ」と続けた。

このところ新型コロナの感染が北東部を中心に拡大していることから来月の旧正月を前に経済活動や消費への影響を懸念する声も聞かれている。

INGの中国担当チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は「人の移動を制限する措置の導入が始まっており、広範な感染拡大のリスクは低いとみられる」と述べた。

ただ、その上で「米国が一部の規制を解除しなければ、中国と一部の国の間でテクノロジー戦争のリスクが残る」と指摘した。

*国家統計局長のコメントを追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は小幅反発、ソフトバンクGが上値抑える

ビジネス

「ドイツ銀がリスクを軽視」、元行員の主張をECB検

ビジネス

午後3時のドルは156円後半、高値圏で売買交錯

ビジネス

欧州新車販売、10月は前年比+4.9% EVがガソ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 8
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中