ニュース速報

ビジネス

メガ・地銀、引き続き金融仲介機能の発揮は十分可能=全銀協会長

2021年01月14日(木)16時34分

全国銀行協会の三毛兼承会長(三菱UFJ銀行頭取)は14日、定例会見で、今年の日本経済について「年内はコロナ前の水準を取り戻すには至らない」と述べた。写真は都内でインタビューに答える三毛氏。2017年10月3日に撮影。(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 14日 ロイター] - 全国銀行協会の三毛兼承会長(三菱UFJ銀行頭取)は14日の定例会見で、今年の日本経済について、年内は新型コロナウイルス感染拡大以前の経済水準には戻らないとの見方を示した。その上で、メガバンク・地方銀行ともに、コロナの影響を受ける事業者の資金繰りを引き続き支援し金融仲介機能を発揮していくことは十分に可能だと語った。

三毛会長は「今年は治療薬やワクチンの本格的実用化が期待されるが、効果や副反応について不確かな部分が残る」と指摘し、「年内はコロナ禍前の経済水準を取り戻すには至らない」との考えを示した。11の都府県で緊急事態宣言が再発令されたことで、1―3月期は一時的にマイナス成長に陥る可能性があるとも述べた。

また、今後は事業者の資金繰りが悪化することによる追加支援要請に加え、コロナの影響が長期化することを見据えた既存借入の返済猶予要請が増加すると指摘。「メガ・地銀とも、現時点では相応の自己資本を有しており、財務健全性・頑健性は保たれている」と述べ、今後も資金繰り支援を続け、金融仲介機能を発揮していくことは可能との認識を示した。

2016年に導入された日銀のマイナス金利政策に関しては、デフレ的な状況の脱却に相応の効果があったと評価する一方で、「金融機関の収益環境は確実に悪化傾向をたどっている」と指摘。日銀の資産買い入れや資本市場への中長期的な影響にも目配りが必要との考えを示し、実体経済に悪影響がある場合は「異次元緩和の副作用と言える」と述べた。

日銀は、2%の物価上昇目標を達成するため各種金融政策を点検し、3月の会合をめどに結果を公表する。三毛会長は「副作用を生じさせず最大限の効果を有した金融政策が運営されるよう、適切な政策調整が検討されていくものと期待している」と語った。

*内容を追加します。

(新田裕貴 編集:田中志保)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中