ニュース速報

ビジネス

来週にも首相が経済対策指示、給付金やGoTo延長で10兆円規模=関係筋

2020年10月28日(水)17時42分

 複数の政府・与党関係者によると、菅義偉首相は来週にも新たな経済対策の策定を指示する見通し。写真は所信表明演説を行う菅首相、26日撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

中川泉、竹本能文

[東京 28日 ロイター] - 複数の政府・与党関係者によると、菅義偉首相は来週にも新たな経済対策の策定を指示する見通し。対策の歳出規模感は10兆円程度を求める声が出ている。第2次補正予算での10兆円の予備費の残額約7兆円を活用し、不足分を補う実質的な追加規模は数兆円程度となりそうだ。年越しへの資金繰り支援として雇用調整助成金や持続化給付金の期限延長、低所得世帯向けの給付金、5月連休を含むGoTo事業の延長が俎上にのぼる。

第2次補正の予算規模が30兆円程度だったことと比べれば、3次補正の規模感は縮小する。財政の壁をさらに大きくすることを避ける意味に加えて、12月5日の臨時国会閉会までに審議を終えるため、補正予算規模をいたずらに大きくしないのが得策との見方が与党内にあるためだ。財源の裏付けとなる2020年度第3次補正予算案は12月中旬に決定する方向だ。

主な内容となるのは、年越しの資金繰り支援の継続だ。一人1日1万5千円を上限とする雇用調整助成金は12月末が期限。予算枠は当初から拡大され、予備費からの追加も含めて2.8兆円程度に増やしたが、すでに1.9兆円が支給されている。

持続化給付金も1月半ばに期限が到来する。およそ5兆円の予算を確保しているが、10月半ばまでの支給額4.7兆円にものぼる。こちらも期限の延長が遡上にのぼっている。

家計向けの再度の給付金も検討されている。自民党内からは一律5万円給付案も提案されたが、下村博文政務調査会長はロイターとのインタビューで一律支給は見送る考えを示し、所得限定給付30万円、予算枠3.7兆円程度を提案した岸田文雄前政務調査会長の考え方が正しいと述べている[nL4N2H01O7]。他の自民党・公明党幹部らかも、限定給付案を支持する声が目立つ。

このほか、来年1月末までを割引販売の期限のめどとしているGoToトラベル事業の期限延長も必要とみられている。東京が対象となったとはいえ、「今のペースではとても予算を使い切れない」(経済官庁幹部)との見方があるためだ。

予算枠は1.6兆円余り確保されているが、与党内では来年5月の連休を含んで延長する方向で議論されている。5000億円程度の追加予算が一つのメドとの声もある。

このほか、臨時国会で法改正が議論されることになっているコロナワクチンの副作用への国家補償など、医療対応の拡充なども盛り込まれる見通しだ。

予備費残額を活用するため、追加歳出規模は小幅となるが、事業規模を積み増し巨大パッケージとして強調する方向だ。金融市場や11月半ばに発表されるGDPなど経済の状況次第で「今後対策規模が膨らむ可能性」(財務省幹部)を指摘する声もある。

*本文1段落目の誤字を修正しました

(中川泉、竹本能文 編集:石田仁志)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英BP、第2四半期は原油安の影響受ける見込み 上流

ビジネス

アングル:変わる消費、百貨店が適応模索 インバウン

ビジネス

世界株式指標、来年半ばまでに約5%上昇へ=シティグ

ビジネス

良品計画、25年8月期の営業益予想を700億円へ上
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中