ニュース速報

ビジネス

FRB当局者、コロナ危機克服で追加財政支援の必要性訴え

2020年05月13日(水)10時08分

 米連邦準備理事会(FRB)の当局者らは5月12日、新型コロナウイルス感染拡大からの景気回復は当初の想定より時間がかかる公算が大きいとし、国内の企業と家計を支援するため、一段の財政出動が必要になると論じた。1日、ワシントンで撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque)

[12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の当局者らは12日、新型コロナウイルス感染拡大からの景気回復は当初の想定より時間がかかる公算が大きいとし、国内の企業と家計を支援するため、一段の財政出動が必要になると論じた。

失業率はさらに悪化する見通しで、景気回復はまだら模様になるとの見方も示した。

ダラス地区連銀のカプラン総裁はCNNインターナショナルに対し、失業率は20%かそれ以上の水準でピークを付け、その後は低下するが年内は8─10%にとどまると予想。4月の失業率は14.7%だった。

「失業率を抑え込み、完全雇用に近づけるために、経済成長率押し上げに向けた追加の財政刺激策が必要になるだろう」と語った。

リッチモンド地区連銀のバーキン総裁とミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁もこの日、同様の見解を示した。

FRBは新型コロナ危機に対応し、流動性供給のための緊急措置を相次いで打ち出しており、米議会ではこれまでに、3兆ドル近い景気対策が成立している。

カシュカリ氏はオンラインで行われたインタビューで「米政府はこの危機に対応し、米国民を支えるための資金を捻出する能力がある」と強調した。

FRB当局者らはまた、景気回復のスピードは米国人が安全と感じる度合いに大きく左右されるとし、地域や部門によって一様ではないと予想した。

カシュカリ氏は経済再開について、州知事や大統領の方針よりも、国民が外食や映画鑑賞、野球観戦などの活動を安全と感じるかどうかで決まるところが大きいと指摘。自身もワクチンや治療薬が入手できるようになるまでは映画には行かないと語った。

「新型コロナを制御できるようになるまでは経済は修復できない」とし、経済正常化の道筋は一様ではないかもしれないと述べた。

フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁もまた、新型コロナ危機からの景気回復は一様ではないと語った。

一方、セントルイス地区連銀のブラード総裁は、封鎖措置について、新型コロナのワクチンが開発されるまでの1年半程度の継続になれば、一時的に解雇された数百万の人々が恒久的に職を失い、「壮大な規模の経営破綻」が起きると警告。感染者を追跡するなどのリスクベースの保健政策で、より効果的な対応を図る必要があると指摘した。

クリーブランド地区連銀のメスター総裁は今年の下半期にプラス成長に回帰するという「妥当な基本シナリオ」を達成するには「多くの条件がそろう必要がある」と分析。経済の救済と支援を間断なく続けることや、「外出制限を公衆衛生上の基準に基づき、慎重かつ責任ある形で緩和する」などの条件を挙げた。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

フォード、アマゾンで中古車販売開始 現代自に続き2

ワールド

トランプ氏、メキシコ・コロンビアへの麻薬対策強化支

ビジネス

午前の日経平均は大幅続落、一時1200円超安 ハイ

ワールド

国連安保理、トランプ氏のガザ計画支持する米決議案を
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 7
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 8
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中