ニュース速報

ビジネス

世界経済、上期11%縮小の恐れ 新型コロナで=ブラックロック

2020年04月02日(木)09時13分

米資産運用大手ブラックロックのマネジングディレクター、アメール・ビサット氏は1日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界経済が今年上期に11%縮小し、経済生産が6兆ドル失われる可能性があるとの見通しを示した。ニューヨーク証券取引所で2017年3月撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)

[ドバイ 1日 ロイター] - 米資産運用大手ブラックロックのマネジングディレクター、アメール・ビサット氏は1日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界経済が今年上期に11%縮小し、経済生産が6兆ドル失われる可能性があるとの見通しを示した。

同氏はオンラインで行われたパネルディスカッションで、「2008年の経済縮小や、(1918年から始まった)スペイン風邪の際に起きたと推定される縮小より大幅になる」と指摘。

「(1930年代の)世界大恐慌ほど深刻にはならないが、世界的な経済ショックとしては、間違いなく2番目に深刻なものになるだろう」と述べた。

また、控えめな予想でも上期に500万人の雇用が喪失する可能性があり、勤務時間短縮や賃金カットといった状況も考慮すると、状況は一段と深刻との認識を示した。

経済的ショックの大きさ釣り合った政策対応がこれまでに打ち出されているかとの質問に対しては、「政治的には間違いなくノーだ」とした一方、政府や中央銀行が発表した経済対策は肯定的に評価した。

「2─3月に世界各国で発表された財政出動の規模は5兆ドルに上り、これは向こう6カ月程度で投入される」とし、「これに加え、中銀による金利引き下げは65件行われ、20余りの中銀がすでに何らかの形の量的緩和を発表している」と指摘した。

<回復はV字に>

ビサット氏は新型コロナの世界的流行による経済的打撃を自然災害になぞらえ、自然災害の後には通常、「力強い回復」が見られるとした。

ただ新型コロナについては、打撃の終息時期が不透明で、感染再拡大の可能性もあるほか、世界的な問題であることなどから、回復は「それほど強くならない可能性がある」との見方を示した。

それでも、強力な政策対応や繰り延べ需要により、「その後の回復は非常に急速になると確信している」と語った。

その上で「回復はV字のような形になるだろうが、問題は、後退期に失われた経済生産を相殺するほど大きなV字になるかどうかだ。答えはノーだと思う」と述べ、「世界の国内総生産(GDP)の2─3%分は取り戻せないだろう」との見方を示した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国製食用油、米輸入すでに急減 トランプ氏脅しに業

ワールド

OPEC事務局長「石油・ガス産業への投資拡大が必要

ワールド

中国、国家公務員の応募年齢上限を引き上げ 年齢差別

ビジネス

中国スマホ出荷、第3四半期は前年比-0.6%=ID
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 6
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 7
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 10
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中