ニュース速報

ビジネス

世界経済、ウイルス拡大で成長鈍化へ 緊急融資枠を設定=IMF

2020年03月05日(木)10時26分

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は4日、新型コロナウイルスの急速な感染拡大に伴い、今年の世界経済は成長加速が見込めないという見方を示した。ワシントンで2018年9月撮影(2020年 ロイター/Yuri Gripas)

[ワシントン 4日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は4日、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年の世界経済の成長率は19年を割り込み、2008─09年の金融危機以降で最も低い水準になる可能性があるとの見方を示した。

新型ウイルス拡散の打撃を抑えるため、IMFは貧困国や途上国向けに500億ドルの緊急融資枠を設定する方針だ。

同専務理事は会見で「2020年の世界経済成長率は、昨年水準(2.9%)を下回る。ただ、どの程度下回り、影響がどの程度長引くを予測するのはまだ難しい」と述べた。

最新見通しは、数週間以内に発表するとした。IMFは1月時点で20年の成長率を3.3%と予測していた。

新型ウイルスの流行で世界経済が景気後退(リセッション)に陥る可能性については発言を控えた。

IMFは2月23日、世界経済の成長率は新型ウイルスの影響で0.1%ポイント下押しされるとの予想を示していたが、専務理事は、ウイルス感染が中国以外の70カ国以上に急拡大し、想定が変化したと述べた。

また、中国では感染拡大が鈍化しているものの、20年の成長率はIMFの最新予測である5.6%を下回るだろうと指摘。一方で、中国の生産再開は現時点で約60%となっており、今後数週間で90%に達すると見込んだ。

世界の金融システムについては、08─09年の金融危機前よりもはるかに耐性があるとしたが、一段の感染拡大に備え、政策当局者による協調的な措置と予防策が必要だと強調した。

<緊急融資枠を設定>

貧困国や途上国を対象にした500億ドルの緊急融資枠については、約100億ドルを貧困国向けに最長10年間、無利子で貸し出す。残り約400億ドルは中所得国向けの最長5年の低金利融資となる。

2016年にエクアドルで大地震が発生した際、同国はこの低金利融資プログラムで3億6400万ドルを借り入れた。

ただ、ブラジル、中国、インドなどの主要新興国やアルゼンチンは、IMFが債務が持続不可能と判断しているため、こうした緊急融資プログラムの対象とはならない。

IMFと世界銀行は、新型ウイルスを封じ込めるために各国が連携して取り組むことが必要だと強調しており、世界銀行も3日、途上国向けに120億ドルの融資枠を設け、支援すると発表した。

*内容を追加しました

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイ首相、カンボジアとの戦闘継続を表明

ワールド

ベラルーシ、平和賞受賞者や邦人ら123人釈放 米が

ワールド

アングル:ブラジルのコーヒー農家、気候変動でロブス

ワールド

アングル:ファッション業界に巣食う中国犯罪組織が抗
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 9
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中