ニュース速報

ビジネス

アングル:与党内に経済対策10兆円論、遊水地整備や高齢者運転支援など

2019年11月21日(木)16時50分

 政府が策定中の経済対策に関し与党内で10兆円は必要との意見が浮上している。台風19号などの被害を受けた災害対策に加え、海外経済減速や消費増税による景気減速の更なる悪化を防ぐため、主種多様な政策パッケージを盛り込む方向で最終調整が進んでいる。写真は台風19号の影響で水につかった駐車場。10月14日、長野県で撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 21日 ロイター] - 政府が策定中の経済対策に関し与党内で10兆円は必要との意見が浮上している。台風19号などの被害を受けた災害対策に加え、海外経済減速や消費増税による景気減速の更なる悪化を防ぐため、多種多様な政策パッケージを盛り込む方向で最終調整が進んでいる。

自民党の二階俊博幹事長は19日の記者会見で2019年度補正予算の規模について「10兆円を下らない程度のものを必要とするのではないか」とコメントした。二階幹事長と公明党の斉藤鉄夫幹事長らは20日の定例懇談で、「少なくとも10兆円程度の大型補正が必要」と確認した。

経済対策については既に自民党の甘利明・税制調査会会長や経済財政諮問会議の竹森俊平議員(慶大教授)などが、2018年度補正予算と19年度の消費増税対策(臨時・特別の措置)をあわせて6兆円の公需があったことを引き合いに、同額以上が必要との見解を表明している。

もっとも10兆円発言には様々な解釈がある。自民党関係者の間では「20年度予算と合計での規模だろう」「国土強靭化対策に限定した発言でないか」「10年間で100兆円の国土強靭化対策が必要というのが真意」との解説が聞かれる。もっとも自民党幹部は「現時点で掲げる目標額としては適当だ」と評価し、歳出規模の確保が狙いとの見方だ。

19年度補正のみで10兆円を実現する場合には「時間のかかる防災・公共工事のみでは金額が膨らまないため、他の案件が増えそうだ」(与党中堅幹部)との見方もある。

経済対策に盛り込まれる具体的な項目については既に大筋固まったようだ。全体は、1)災害対策、2)中小企業対策、3)東京五輪後対策──の3本柱。災害対策としては、川の氾濫を吸収する遊水地の確保や、発電用ダムの治水利用、台風19号で氾濫した支流河川の浚渫(しゅんせつ)、電線の地中化などが盛り込まれる見通し。

災害対策以外では、小学校用パソコンの1人1台を目標とした普及、高齢者向け自動ブレーキ支援、時限的な増税対策であるキャッシュレス決済に対するポイント還元の期限が来年6月に切れるのを踏まえたマイナンバーカードを利用したポイント還元、日米貿易協定を受けた農業支援などが検討されている。

*本文1段落目の誤字を修正しました。

(竹本能文)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国10月指標、鉱工業生産・小売売上高が1年超ぶり

ワールド

原油先物は2%超高、ロシア南部の石油備蓄基地にドロ

ビジネス

午前の日経平均は反落、800円超安 米株急落の流れ

ビジネス

英首相と財務相、所得税率引き上げを断念=FT
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 5
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 6
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 10
    「ゴミみたいな感触...」タイタニック博物館で「ある…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中