ニュース速報

ビジネス

EUが化石燃料への融資停止を提案 気候変動対策で大きな転換

2019年11月09日(土)03時05分

 8日、欧州連合(EU)財務相は共同声明で、石油とガス、石炭に関連する事業への融資を段階的にやめるべきだとした。写真は10月16日撮影(2019年 ロイター/Yves Herman)

[ブリュッセル 8日 ロイター] - 欧州連合(EU)財務相は8日に発表した共同声明で、石油とガス、石炭に関連する事業への融資を段階的にやめるべきだとした。EUの気候変動対策において大きな転換期になる可能性がある。

全ての化石燃料への融資を打ち切ることをEU財務相が提案するのは初めて。これまでの提案は石炭発電所への融資打ち切りにとどまっていた。全て打ち切った場合、EUの政策金融機関である欧州投資銀行(EIB)による数十億ユーロの化石燃料計画への融資がなくなる可能性がある。EIBは昨年20億ユーロ(21億ドル)近くを化石燃料計画に貸し出した。EIBの統計によると、13年以降、こうした融資は総額134億ユーロに上る。

ロイターが入手した機密文書では、ウクライナとクロアチアなど一部の国においてガス関連事業への融資が続く可能性がある。EIBが融資を打ち切った場合、こうした国はロシアに頼ることになるという懸念をハンガリーが示し、免除を求めたためだ。

EIBは地球温暖化対策を目的とした世界的な計画に多く融資しているが、皮肉なことに化石燃料事業にも貸し出している。加盟国の多くが原子力や石炭エネルギーへの依存度を減らすためにガス事業を後押ししていることが背景。

EU財務相はこの日、EIBや世界銀行など世界的な金融機関に対し「化石燃料事業への融資を段階的にやめる」ように提案したが、政治宣言はEU加盟国の代表者から成るEIB理事会で正式に承認される必要がある。

EIBは先月に、来年から化石燃料事業への融資をやめる判断を下すと見込まれていたが、EU内で意見が分かれ先送りされた。ドイツやイタリア、ポーランドなど一部の国はガス関連事業への融資を継続することを求めた。

EU当局者によると、EIBは14日に会合を開き、化石燃料事業に関する方針も議題に上がるという。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪6月失業率は3年半ぶり高水準、8月利下げ観測高ま

ビジネス

アングル:米大手銀トップ、好決算でも慎重 顧客行動

ワールド

WTO、意思決定容易化で停滞打破へ 改革模索

ビジネス

オープンAI、グーグルをクラウドパートナーに追加 
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 5
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 6
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 7
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 9
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 10
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中