ニュース速報

ビジネス

焦点:米中間選挙、株式オプション市場では「ささいな材料」

2018年10月20日(土)09時56分

 10月18日、来月の米中間選挙は、株式オプション市場にとって当面の相場の方向性を左右する大きな要素になるとは考えられていない。写真はニューヨーク証券取引所。9月撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

Saqib Iqbal Ahmed

[ニューヨーク 18日 ロイター] - 11月6日の米中間選挙で野党・民主党が下院の過半数を確保すれば、トランプ大統領の政策実現に支障が生じるなど、政治的な影響は大きいとみられる。

ただデータを見ると、株式オプション市場では、中間選挙結果が当面の相場の方向性を左右する大きな要素になるとは考えられていない。

キャンター・フィッツジェラルドのチーフ市場ストラテジスト、ピーター・チェッキーニ氏は、選挙を巡る不透明感は話題に上っているとしながらも、実際にヘッジに動いたり、ヘッジにはっきり言及するような市場参加者は見当たらないと述べた。

民主党が上院もしくは下院を制するようなら、ロシア問題から課税逃れに至るまでトランプ氏にかかる数々の疑惑に対する調査が迅速に進められる可能性がある、と複数の議会関係者は話す。情勢変化が起きる可能性を背景に、政策がどう修正されるかや、民主党がトランプ氏弾劾に動くかどうかについて、さまざまな観測が飛び交っている。

それでもソシエテ・ジェネラルのフロー戦略・ソリューション責任者アンドルー・スコット氏は「投資家が本気でこうした事態を信じているなら、相当なボラティリティーのプレミアムが発生するはずだが、実際にはそれは存在しない」と指摘する。

スコット氏は、ボラティリティーの期間構造は投資家が過度に心配してはいないことを示唆している、と付け加えた。ボラティリティーの期間構造は、権利行使期間の異なるオプション価格から算出され、将来の株式相場の変動に対する市場の期待が反映される。

足元の株式市場は、金利上昇や貿易摩擦への警戒感から乱高下したとはいえ、過去30年間の中間選挙前の時期と比べると株価の変動幅は小さい。

S&P総合500種の1カ月物ボラティリティーは現在17%前後。一方、リフィニティブのデータに基づくと、過去8回の中間選挙の平均は20%だ。先週のボラティリティーの急上昇を例外扱いにすれば、この時期の水準としては30年間で最も低い。

中間選挙結果には瞬間的に反応するとしても、米国株上昇の流れは途切れない、というのがアナリストの見立てだ。LPLリサーチの分析では、1946年以降の全ての中間選挙後1年間のS&P総合500種は平均で14.5%上がった。

ソシエテ・ジェネラルのスコット氏は「中間選挙の結果は2020年(の大統領選挙と議会選挙)の手掛かりになるという面では重要だが、短期的には株高基調を損なう原因にはなりそうにない」とみている。

最近の株価の下押しが健全なヘッジ需要を喚起したため、市場が今後何らかの打撃を一瞬受けたとしても、投資家がうまく乗り切れる態勢がより整った面もある。必ずしも中間選挙に不安を覚えたわけではないが、投資家はこのところリスクの高い資産を売却していたのだ。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国人民銀、一部銀行の債券投資調査 利益やリスクに

ワールド

香港大規模火災、死者159人・不明31人 修繕住宅

ビジネス

ECB、イタリアに金準備巡る予算修正案の再考を要請

ビジネス

トルコCPI、11月は前年比+31.07% 予想下
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 8
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 9
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 10
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中