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米製造業、貿易戦争懸念でも「高いギア」にシフト=地区連銀報告

2018年05月31日(木)07時28分

5月30日、米連邦準備理事会は地区連銀経済報告を公表し、世界的な貿易戦争への懸念が台頭する中でも米製造業者が生産を増やしたとの認識を示した。写真は2017年5月ワシントンのFRBビル前で撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

[ワシントン 30日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は30日に公表した地区連銀経済報告(ベージュ・ブック)で、世界的な貿易戦争への懸念がある中でも米製造業者が4月下旬から5月初旬にかけて生産を増やしたとの認識を示した。ただ個人消費は弱含んでおり、経済は緩やかな伸びにとどまった。

製造業では組立金属製品や重機、電子装備の生産が底堅く伸びた。

FRBは今回の地区連銀報告で、経済活動は「控えめから緩やかなペース」で拡大していると評価。前回の報告から若干の上方修正となる。

製造業部門については「一段と高いギアにシフトした」と指摘。過半数の地区が産業活動は上向いたと報告し、約3分の1が活動は「力強い」との認識を示した。

ただ、中国など貿易相手国との間で通商を巡る緊張が高まっていることを受け、製造業者の間では世界的に関税が引き上げられるのではないかとの懸念が出ている。FRBは「製造業者の主な懸念は通商政策」と指摘。ボストン地区では検査機器メーカーが、米国の輸入関税に対する中国の報復措置の影響を避けるために生産の一部を欧州に移転するかもしれないとした。

ミネアポリス地区では、最近発表された鉄鋼とアルミニウムに対する輸入関税がサプライチェーンに影響を及ぼすことを懸念する声が上がった。トランプ政権は中国を含む多くの国から輸入された鉄鋼に関税を課すと発表している。これを受け中国は米国のアルミニウムやその他のモノに報復関税を課すとしている。

ダラス地区が唯一、経済全体が「底堅いペースで伸びた」と指摘。全米レベルでは、自動車の売り上げが横ばい。自動車以外の小売売上高はペースが落ちた。

雇用は控えめから緩やかなペースで増加した。労働市場は引き締まった状態が続いた。ただ賃金の伸びは控えめだった。

今回のベージュブックは、クリーブランド連銀が5月21日までに入手した情報に基づいてまとめた。

*内容を追加して再送します。

ロイター
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