ニュース速報

ビジネス

新規資金は1兆円強、リスク資産投資を積極化=18年度・日本生命運用計画

2018年04月26日(木)20時03分

 4月26日、日本生命保険は2018年度の一般勘定運用計画で、リスク資産投資を積極化する。2009年7月撮影(2018年 ロイター)

[東京 26日 ロイター] - 日本生命保険は26日、2018年度の一般勘定運用計画で、リスク資産投資を積極化する。新規資金1兆円強のうち、オープン外債に4000億円前後、内外株式に2000億─3000億円程度を振り向ける。一方で、国内低金利環境の長期化や外債投資のヘッジコスト上昇で、国内債券やヘッジ外債といった円金利資産の投資妙味が薄れており、慎重姿勢を維持する方針。

同社が26日に開催した運用方針の説明会で明らかにした。

日本生命は、18年度の新規資金配分を1兆円強とし、前年度実績(1兆7400億円)に比べて減少する見通し。上期と下期の割り振りはほぼ半々になる。運用方針では、国内債券を「横ばいから増加」、国内債券の代替と位置付けているヘッジ外債を「横ばいから減少」と、やや幅をもって示している。内外金利の水準や外債ヘッジコストの動向を踏まえて、機動的に判断する考えだが、国内債券とヘッジ外債を合わせた残高はほぼ横ばいにとどまる見通し。

同社は「20年債・30年債の超長期国債利回りが1%を超えてくれば、国債投資を加速する」(財務企画部長の秋山直紀氏)との従来スタンスを変えていないが、日銀のイールドカーブ・コントロール政策で、国内低金利環境が長期化するとしており、国内債券投資は引き続き慎重姿勢だ。

ただ、予定利率引き下げ後の契約に対応する部分について、金利水準を踏まえて国債投資を計画。ヘッジコストの上昇を見込む中、ヘッジ外債はソブリン債を売却し、スプレッド収益を確保できる社債やプロジェクトファイナンスへの入れ換えを計画している。「ヘッジコストが高い米ドルから、ユーロなどの他通貨に分散することもあり得る」(秋山氏)という。前年度に約1兆円増えて3.7兆円まで残高が増えた海外社債の投資をさらに強化する方針。

一方で、投資を積極化するのは、オープン外債や内外株式などの円金利以外の運用資産。オープン外債は、円金利資産からの運用シフトと外貨建て保険商品の販売などによって、残高を4000億円前後を積み増す予定。為替・金利水準に応じて、機動的に為替リスクをコントロールする。

また、内外株式も2000億─3000億円程度の増加を見込んでいる。個別銘柄ごとに成長性や株主還元状況に着目し、中長期的な収益力向上につながるポートフォリオの構築を目指す。「国内株式は横ばいから微増、海外株式はプライベート・エクイティ・ファンドを含めると、国内株に比べて増加する見通し」(秋山氏)という。

生保の運用環境に厳しさを増しているが、同社では、成長・新規領域、ESG債などへの投融資を進めている。中期経営計画(2017―2020年度)で、2000億円を計画していたESG債等へ投資額は、17年度実績で約2022億円とすでに目標を超過しているため、約7000億円に引き上げることを検討している。

2018年度末の見通し(レンジ・年度末)は以下の通り。▼はマイナス。

日本国債10年物利回り  ▼0.20─0.20%(中心値0.0%)

米10年債利回り      2.5─3.5%(同3.0%)

日経平均         21000─26000円(同24000円)

米ダウ          23000─28000ドル(同26000ドル)

ドル/円         100―120円(同110円)

ユーロ/円        125―145円(同135円)

(星裕康)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中