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香港取引所、ロンドン証取に390億ドルの買収案 成功に疑問符も

2019年09月12日(木)09時30分

[ロンドン 11日 ロイター] - 香港取引所(HKEX)<0388.HK>は11日、ロンドン証券取引所(LSE)に316億ポンド(390億ドル)で買収を提案したことを明らかにした。LSEが金融情報会社リフィニティブの買収を進めないことが今回の買収の条件になるとした。

しかし、英政府や欧州の規制当局から抵抗が予想されるほか、LSEの株主の説得も難題になる。LSE株主はリフィニティブ買収を肯定的に受けとめ、株式を手放すことに消極的だ。LSEの株価は香港取引所の提示額を大幅に下回って終了した。

一方、香港取引所は国際的な大型買収を実現し、香港で長期化するデモによる不透明感の払拭を狙っている。リフィニティブのデータによると、同取引所は過去10年間、ニューヨーク証券取引所(NYSE)と上場誘致で1、2位を競ってきたが、今年はデモの影響で、年初からの新規上場企業の資金調達総額が108億ドルと、NYSEの202億ドルに大きく水をあけられている。

<LSEはリフィニティブ買収に「専心」>

香港取引所はまた、外国為替相場でのポンド安をLSE買収の好機と捉えており、NYSEを傘下に置く米インターコンチネンタル取引所(ICE)や米先物取引所運営大手CMEグループに対抗し得る態勢を整えたい考えだ。

香港取引所は声明で「当社取締役会は、今回提案したLSEとの統合が極めて魅力的な戦略上の選択肢であり、市場インフラの世界的リーダーを誕生させる機会になると考えている」と述べた。

香港取引所はロンドン金属取引所(LME)を傘下に収めており、すでにロンドンに拠点がある。LSEはアジア事業の強化を目指しており、最近、上海市場との相互取引を開始した。

LSEは、香港取引所の買収案を検討すると述べる一方、リフィニティブの買収計画の進展に引き続き専心していると表明した。LSEは8月、リフィニティブを270億ドルで買収することで合意したと発表している。[nL4N24X5TU]

リフィニティブとその株主である米投資会社ブラックストーンおよびトムソン・ロイターはコメントを控えた。

香港取引所の提案によると、LSEの株主は現金2045ペンスと香港取引所が新たに発行する2.495株を受け取る。同取引所はLSE買収完了後、ロンドン市場に株式を重複上場する考えを示した。

買収価格は、LSEの10日の終値に対して22.9%上乗せした水準だという。

買収提案を受け、ロンドン株式市場でLSE株は一時17%を超えて上昇したが、結局5.9%高の7206ペンスで取引を終了した。市場関係者によると、香港取引所の提示額とのかい離は、買収が成功するかどうかについて懐疑的な見方が強いことを反映している。

<規制当局は「念入りに調べる」意向>

買収を成立させるには英政府の支持を取り付ける必要がある。ただ、英財務省は、LSEが英金融システムの「極めて重要な一部」とした上で、「政府と規制当局は提案の詳細を念入りに調べる意向だ」と述べた。

LSEの大株主の上位25位に入るファド運用会社ジュピターのファンドマネージャーは「株主が同提案を受け入れるかどうかが不透明だ。リフィニティブ買収は事業変革をもたらし、長期的に付加価値を生み出すとの期待から株主から広く支持を得ているからだ」と指摘した。

一方、CMEグループのテリー・ダフィー最高経営責任者(CEO)は同日ニューヨークでインタビューに応じ、香港取引所によるLSE買収案に対抗案を出すことは検討していないと述べた。最近買収した金融取引仲介の英NEXグループの事業統合と中核業務の拡大に専心していると述べた。

*内容を追加しました。

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