ニュース速報

各中央銀行、義務の履行にはグローバルな視点が不可欠に=論文

2019年08月26日(月)15時04分

[ジャクソンホール(米ワイオミング州) 23日 ロイター] - 第2次世界大戦以来数十年にわたり、世界主要国・地域の成長率、インフレ率、金利はともにより密接に伸びていた。

そうした文脈で考えてみると、米連邦準備理事会(FRB)による利上げの取り組みは、中銀が独自に動きすぎることが限られる世界的トレンドの中で最初から成功の見込みがなかったのかもしれない。

以上はワイオミング州ジャクソンホールで開かれたFRBの年次会議で23日に示された研究結果だ。今年の会議では世界と米国の深刻なリセッション(景気後退)から10年後の金融政策を巡る課題に焦点が当てられた。

サンフランシスコ地区連銀のオスカー・ジョーダ氏とカリフォルニア大学デービス校のアラン・テイラー氏は、各国の金融政策にとって適切な基調均衡金利がいかに世界的に決まるようになったかを研究した論文の中で「こうしたトレンドを無視することは対内・対外不均衡のほか、望まない転調を引き起こすリスクがある」と指摘。特にFRBといった中銀が独自に動いている時、「資本移動の世界では、これが不可避的に均衡為替レートを動揺させる。現在は通貨戦争や為替操作を巡る言説が繰り返しトップニュースになり始めている」とした。

論文は「中央銀行は経済と市民の金融上の安泰を守る義務がある」と指摘。「低成長、低い中立実質金利、密接な金融統合という環境にあるグローバル化経済の中で、この義務を履行するのに各中銀は必然的にグローバルな視点を採用せざるを得なくなるだろう」と結論付けた。

*カテゴリを修正して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノバルティスとロシュ、トランプ政権の薬価引き下げに

ビジネス

中国の鉄鋼輸出許可制、貿易摩擦を抑制へ=政府系業界

ワールド

アングル:米援助削減で揺らぐ命綱、ケニアの子どもの

ワールド

訂正-中国、簡素化した新たなレアアース輸出許可を付
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中