ニュース速報

人種不安あおるトランプ氏手法、選挙効果に陰りも=世論調査

2019年08月20日(火)02時48分

[ニューヨーク 19日 ロイター] - ロイターが過去4年間の世論を分析したところ、来年の米大統領選で人種に対する白人の不安に訴えるトランプ氏の政治手法効果に陰りが見られることが分かった。

トランプ氏は反移民の主張のほか、世界経済に置き去りにされたと不安を感じたり移民制限強化を求めたりする白人有権者の怒りに焦点を当て、前回の選挙を制した。

ロイター/イプソスが7月、米成人4436人に行った世論調査の結果によると、人種的な固定概念を否定する人の方が反黒人・反ヒスパニック意識をより強く示す人より来年の選挙投票に関心があることが示された。

黒人と白人は平等、または黒人が白人より優れていると考える国民の82%が投票に強い関心を示した。白人が黒人より優れていると強く感じる人より7%ポイント高かった。

ミシガン大学のビンセント・ハッチングス教授(政治学)は「人種的なリベラル派が不寛容派より勢いづいていることを示す」とし、「民主党員に朗報だが共和党員には悪い知らせのようだ」と話した。

<人種不安和らぐ>

米国民が人種的な不安を訴える傾向が薄れ、アフリカ系米国人への共感が高まっている状況も浮かび上がった。この傾向は前回の選挙で総じてトランプ氏を支持した白人米国人や大学の学位を持たない白人にも当てはまった。

「米国は自国内の白人欧州社会の伝統を守り保全する必要がある」と答えた白人は29%。2017年8月に行った調査結果から7ポイント、昨年8月実施の別調査から9ポイントそれぞれ低下した。

白人の17%、白人共和党員の26%が「白人が自国で現在攻撃を受けている」という見方に強く同意すると回答したが、17年からそれぞれ約6ポイント、8ポイント下がった。

15年1月の調査結果と比べて、不法移民者の市民権獲得機会を支持する白人米国人が19%ポイント増え、国外追放増加を支持する人の割合は4ポイント低下した。

<民主・共和党員の認識ギャップ拡大、トランプ氏に明るい兆しも>

白人の間で民主党員と共和党員の人種認識を巡る違いが拡大していることも示された。

黒人が職場と警察に不公正な扱いを受けていると答えた民主党員は16年以降、それぞれ8ポイント、11ポイント増えたが、共和党員の間で変化はほとんど見られなかった。

トランプ氏には明るい兆しも表れた。白人共和党員の大半が同氏の仕事ぶりを評価。メキシコ国境沿いの壁整備拡大への支持は昨年75%だったが、今回は約82%に増加した。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

次期FRB議長の条件は即座の利下げ支持=トランプ大

ビジネス

食品価格上昇や円安、インフレ期待への影響を注視=日

ビジネス

グーグル、EUが独禁法調査へ AI学習のコンテンツ

ワールド

トランプ氏支持率41%に上昇、共和党員が生活費対応
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 9
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 10
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中