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アングル:米大統領選、民主党の急進左派に「共倒れ」懸念
[デモインズ(米アイオワ州) 13日 ロイター] - 2020年秋の米大統領選に向け、野党・民主党は来年2月に最初の党員集会をアイオワ州で開く。指名獲得を目指すエリザベス・ウォーレンとバーニー・サンダースの両上院議員が先週、同州を訪問すると、集まった人々に歓声で迎えられた。
この急進左派候補2人は親密で、すべての米国民への一律の医療保険適用や金融業界批判を提示している。また、最低賃金引き上げなど多くの共通する政策を掲げている。陣営はともに結束が固く、資金も豊富だ。
そして一部の有権者には、ある疑問も浮かんでいる。人気がある急進左派の2人がこのままアイオワ州、あるいは全米で共存しながら選挙戦を続けて行けるのか、別の言い方をするなら、2人が左派票を奪い合い、結局はバイデン前副大統領のような中道派を利する恐れはないのか、という疑問だ。
バージニア州から来たウォーレン氏の支持者、シャーマ・マザーさん(50)は「当然私もそれを心配している」と語った。
アイオワ州の党員集会までまだ半年近くあり、指名争いの行方は見えないものの、世論調査では常にバイデン氏が首位に立ち、サンダース氏もしくはウォーレン氏が2番手につける。
2人の支持を合わせればバイデン氏を上回る計算で、急進左派が主張するように、民主党が左傾化しつつあることを浮き彫りにしている。ウォーレン氏を支持する団体「進歩主義的な変化を目指す運動委員会(PCCC)」の共同創設者、アダム・グリーン氏は「2人がコンビを組んで指名争いの舞台を引っ張っている」と指摘する。
2人は互いにライバルではなく友人だと主張し、今のところ相手を攻撃して政治的な得点を稼がないという約束を守っている。
それでもアイオワ州では、ウォーレン氏がサンダース氏の長年にわたる支持層の一部を取り込もうとしていることを示す兆候がある。モンマス大学の最近の調査によると、同州の民主党員のウォーレン氏支持率は21%と、バイデン氏の28%に次ぐ高さで、サンダース氏は9%に低下した。
サンダース氏陣営は12日、この調査について、同氏の支持層のサンプルが過小になっている欠陥があるとの見方を示した。
サンダース氏の姿を見ようと、アイオワ州に来たアレクシス・ジョンソンさん(33)は、トランプ大統領を倒すことが最優先だと語りつつ、ウォーレン氏にはほとんど興味を示さず「バイデン氏かサンダース氏かの選択になる。そして私が投票するのはサンダース氏だ」と断言した。
一方、同州の住民でサンダース氏を支持するミスティ・コーネリアスさん(38)は、ウォーレン氏の方がトランプ氏の対抗馬としてふわさしいかもしれないと考えている。既に特定の色がついたサンダース氏よりも、ウォーレン氏は新鮮味があるという。
2人は政策面で重なる部分が多いものの、選挙戦におけるアピールの手法は違いが鮮明だ。
オクラホマ州の労働者家庭で育ったウォーレン氏は、地方を地盤とするポピュリスト(大衆迎合主義者)だと自らを定義しているが、サンダース氏のほうは「ムーブメント(運動)」の主導者であることを強調している。
訴える有権者が異なっているという証拠もある。モンマス大の世論調査の責任者、パトリック・マレー氏は、ウォーレン氏の支持率が最近になって急上昇したのは、サンダース氏だけでなくほかの全ての候補から支持を奪っているからだとの見方を示す。一方で、サンダース氏の中核的な支持層は決して彼を見捨てないだろうという。
ウォーレン氏は女性、中でも大卒者が魅力を感じるかもしれない。これらの層をサンダース氏は取り込むことができない。アイオワ州在住のジャネット・コードウェルさん(66)は「男たちが支配する世界にはもううんざりしている」と述べた。
とはいえ、ウォーレン、サンダース両氏にとって、今のところはそれぞれの陣営に支持者が流れることは最も懸念すべき事態ではない。PCCCのグリーン氏によると、むしろ双方とも急進左派がトランプ氏に勝利できることを訴えかけているという。
投票権を持つ党員の多くはまだバイデン氏を支持しているが、その認識は変わりつつあるという。
(James Oliphant記者)