ニュース速報

豪中銀、「必要なら」再度利下げの用意=議事要旨

2019年07月16日(火)13時05分

[シドニー 16日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)が16日に公表した7月会合の議事要旨では、雇用や賃金の伸びを支援するため、中銀が「必要であれば」再び利下げを行う用意があることが明らかになった。

中銀は、7月の政策会合で政策金利のオフィシャルキャッシュレートを25ベーシスポイント(bp)引き下げ、過去最低の1.00%とすることを決定した。[nL4N24319Y]

議事要旨は「より低い金利は国民のためにさらなる雇用を生み出し、インフレ目標に向けたより確実な進展を後押しする」と指摘。「理事会は引き続き労働市場の状況を注視し、経済の持続可能な成長とインフレ目標の達成を支援するため、必要なら金融政策を調整する」と説明した。

豪経済成長率は、不動産市場の長期低迷と軟調な家計消費を背景に、金融危機以来の低水準となっている。

金融市場は、年末までに追加利下げがあり政策金利は0.75%になるとの見方を織り込んでいる。7月2日の政策会合前に行われたロイター調査によると、エコノミストは11月に3度目の利下げがあると予想している。

ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のエコノミスト、カイシン・オウヨン氏は、「追加利下げの時期について明確なシグナルはない。われわれは引き続き11月に25bpの引き下げがあると見込んでおり、労働市場とインフレの状況次第では前倒しされるリスクもある」と述べた。

<財政出動なければ中銀に圧力>

中銀理事会は「緩和的な」金融政策、堅調な需要、資源セクターの回復、輸出の拡大が今後数年の景気回復に寄与することを期待している。福祉政策やインフラ事業における公共投資が第1・四半期の経済成長を押し上げたと指摘した。

中銀のロウ総裁は一段の財政刺激策の実施を呼び掛けてきた。ただ、モリソン首相は今のところ財政刺激策の必要性は低いとの立場で、2019/20年度に財政黒字化を果たすとの目標を堅持している。

つまり「RBAが引き続き責任を負わされる可能性がある」とロイヤル・バンク・オブ・ カナダ(RBC)のエコノミスト、スリン・オン氏は指摘。同氏は2020年までにオフィシャルキャッシュレートが0.5%まで低下すると予想する。

議事要旨では、理事会が小売り業界のインフレと、外資とオンライン事業者の参入による今後の競争激化の影響について議論したことが明らかになった。「理事会メンバーは、小売り業界の調整が長引き、ここ数年インフレ率に下方圧力を加えていると指摘した」という。

小売り指標は、4─6月期に裁量支出が依然軟調なことを示しているとした。

理事会は、豪ドルは利下げにより低水準を維持し、経済を支援すると判断。家計やビジネスの借り入れコストの低下にもつながるとみている。

ただ、6月以降の2度の利下げにも関わらず豪ドルは5カ月半ぶり安値の0.6829米ドルから0.7040米ドル近辺に上昇している。議事要旨の発表後に豪ドルはやや軟化し、0.7030米ドルをつけた。豪ドルの最近の上昇は、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに着手し、他の主要中銀も続くとの観測が背景となっている。

こうしたことを踏まえると、豪中銀は、好ましくない豪ドル相場の上昇を抑制するため追加緩和を迫られる可能性がある。

世界経済については、貿易摩擦の影響などを取りあげ、弱気な見通しを示した。

*内容を追加しました。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中