ニュース速報

日産、複数の委員会人事でルノーへ譲歩検討 総会可決目指す

2019年06月15日(土)17時39分

[東京 15日 ロイター] - 日産自動車<7201.T>が、「指名委員会等設置会社」への移行で新設される3つの委員会の人事に関し、複数の委員会で筆頭株主であるルノーの要求を受け入れ、同社が推薦した人材を入れる方向で調整に入った。

複数の関係者が明らかにした。

日産は25日の定時株主総会で指名委員会等設置会社に移行するための議案を諮る予定だが、ルノーが議決権を行使せず棄権する方針を示したことから、人事案でルノーへの配慮を示し、日産が提案した議案への賛同を得たい考えだ。

複数の関係者によると、人事を巡って両社は現在「交渉中」という。ただ、関係者の1人は「日産とルノーの間には、まだギャップがある。双方が譲歩する必要がある」と指摘。「問題は両社がそのギャップを狭めることができるかどうかだ」と話している。

日産はカルロス・ゴーン前会長の不正問題を受けて、前会長に権限が集中していた企業統治(ガバナンス)体制を抜本的に改革するため、現在の「監査役会設置会社」から、社外取締役の権限を強めて業務の執行と監督を明確に分ける指名委員会等設置会社への移行を計画している。

ただ、日産株を約43%持つルノーが棄権した場合、議案が否決されるのは確実。日産はルノーに賛成票を投じてもらうため、一定の譲歩はやむを得ないとの判断に至ったもようだ。

指名委員会等設置会社移行に伴い「指名」「監査」「報酬」の3つの委員会が設置されるが、日産は当初、3つの委員会の委員として、ルノーからは日産取締役に就いているジャンドミニク・スナール会長だけが入る案を温めていた。

しかし、ルノー側は日産への影響力を維持するため、同社のティエリー・ボロレ最高経営責任者(CEO)も委員会メンバーに入れるよう要求している。25日の株主総会では、ボロレCEOも日産取締役として選出される予定。

日産は、取締役会議長に、石油元売り最大手JXTGホールディングス<5020.T>の木村康・相談役を充てる方向で調整している。取締役会議長は業務執行の監督を担う取締役会のトップで、日産のガバナンス改革にとって重要な役職となる。

木村氏も25日の株主総会で社外取締役に選ばれることになっており、総会終了後の取締役会後に取締役会議長への就任は正式決定する。

ただ、先の関係者の1人は、議長人事はルノーとの交渉の行方次第であり「予断を許さない」としている。

(白木真紀 取材協力:Linda Sieg 編集:田巻一彦)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

12月FOMCでの利下げ見送り観測高まる、モルガン

ビジネス

米シカゴ連銀総裁、前倒しの過度の利下げに「不安」 

ワールド

IAEA、イランに濃縮ウラン巡る報告求める決議採択

ワールド

ゼレンスキー氏、米陸軍長官と和平案を協議 「共に取
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中