ニュース速報

USTR代表「中、米製品購入拡大では不十分」 対日交渉3月開始に意欲

2019年02月28日(木)09時29分

[ワシントン/東京 27日 ロイター] - ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は27日、米中の通商問題は非常に深刻で、中国が米国製品の購入を増やすだけでは不十分とした上で、両国が通商合意に至るには依然、相当な努力が必要になるとの認識を示した。環太平洋連携協定(TPP)の発効などにより米国の農家に影響が出ており、日本との通商交渉も3月にも始めたい意向を示した。

トランプ政権が交渉で関税引き上げのカードを利用するのは、中国に大幅な構造改革を実行させるためだと説明。さらに交渉が成立した場合でも、長期にわたり関税カードを温存していく必要があると明言した。

ライトハイザー代表は下院歳入委員会での公聴会で、現在継続中の協議について、結果を予測するのは時期尚早と指摘。その上で「協議している問題は非常に深刻で、追加購入の確約では解決できない。われわれは新たなルールが必要だ」と語った。

米中の通商協議には一定の進展が見られると指摘。1回の交渉で中国との関係や同国の通商慣行がすべて変わるとは思わないと説明。

その上で「もしわれわれがこの取り組みを完了させれば、そしてもし、合意に達することができたら、中国との経済関係においての転機になる」と述べた。

中国の問題がいかに深刻であるかを同国に理解させるべく、米議会の支持が不可欠になるとも訴えた。

合意事項の実施に関しては、米国として一方的措置の発動権に加え、月ごとの定期会合の開催を求めていると説明。「合意実施のプロセスは、時間軸や対応など非常にこまごまとした取り決め(が必要)」とした。定期会合を巡っては、下級事務レベル会合が月ごと、次官級会合が四半期ごと、閣僚級会合は半期ごとが望ましいとした。

中国に対し、大豆やとうもろこし、エタノール、綿花など米国製品を「大量」に追加購入するよう要求していることも明らかにした。

人民元の問題については、中国が過去に為替操作を行ったことは疑いの余地がないとした上で、米国は中国との通商協議の場で通貨切り下げ防止を要求していると強調した。同時に「日本を含むアジア各国には為替で問題がある」との見解も示した。

北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな貿易協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」については、議会が承認しない場合、壊滅的な影響をもたらすと警告した。

トランプ大統領が、予定されていた中国製品の関税引き上げを延期すると表明したことに関して、USTRはトランプ氏の決定を実行に移すための法的手続きを進めていると述べた。

ただ、USTRはその後発表した声明で、関税引き上げ計画を撤回したわけでないと明確にした。

<TPP・日欧EPA発効で米農家に影響>

日本との通商交渉の見通しについて「非常に早期に、恐らく来月にも日本を訪問したい」と述べ、3月にも交渉を開始したい意向を示した。

TPPと日欧経済連携協定(EPA)の発効で「米農家に実際の影響が出ており、急ぐ必要があると理解している」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に

ビジネス

トランプ氏、8月下旬から少なくとも8200万ドルの

ビジネス

クーグラー元FRB理事、辞任前に倫理規定に抵触する
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 4
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中