日本の株式市場は今、大きな転換期を迎えています。長らく続いてきた歴史的な円安トレンドに対し、政府・日銀による強力な為替介入(円買い・ドル売り)が断続的に実施されたことで、一方向の円安進行に歯止めがかかりつつあります。
為替はすべての資産価格の土台であり、相場の物色構造を左右する最重要の分岐点です。「円安」から「円高」へと潮流が変化するシナリオが現実味を帯びるなか、株式市場ではこれまで主役だった輸出関連株から、コスト低下と国内消費の底堅さを背景に買われる「内需株・円高メリット銘柄」への資金シフトが意識され始めています。
日米協調介入と円高マグマの縮小
政府・日銀は7月30日以降、巨額の円買い・ドル売り介入に踏み切りました。これにはアメリカも円買い・ユーロ売り介入で側面支援に回り、日米協調介入という極めて強力な切り札が示されました。この影響で、1ドル=164円台もうかがう展開だったドル円相場は、一時155円台前半まで急伸しました。
アメリカの商品先物取引委員会(CFTC)が発表した投機筋の円ポジションデータによると、歴史的高水準に積み上がっていた円の売り越し幅は、介入後わずか1週間で7割超(72%)も急減しました。これは週次データが遡れる1992年10月以降で最大の減少幅です。
急激な円高のエネルギーとなり得る「円高マグマ」は一旦解消され、8月上旬の円相場は157円台と落ち着きを見せました。「160円が当面の下限」との意識が広がり、これ以上の円安は進みにくいだろうとの安心感も漂っています。
介入だけで中長期的な為替トレンドを完全に転換させるのは難しいとの見方もありますが、一方で、焦点は日銀の政策金利引き上げに移っています。昨年12月に政策金利を0.75%程度へ引き上げた日銀に対し、市場は次回(9月)の金融政策決定会合でのさらなる利上げを徐々に織り込み始めています。
想定以上に強かった春闘の結果や賃上げの定着を背景に、日銀のタカ派的な金融正常化が進めば、日米金利差は中長期的に縮小しやすくなり、アメリカの利下げタイミングと重なれば円高・内需優勢のシナリオがより確固たるものになる可能性が高いといえます。