この10年、常に連動してきたが、ここにきて、月曜の夜の米国、火曜の昼の日本、火曜の夜の米国。どれも方向感が全く違う。どういうことか。

私は、日本市場がノイズで、日本市場を無視すべきだと書いたが、他に2つ仮説がある。

乱高下が激しすぎて、12時間の違いはまったく別の市場となるから、時差が違いをもたらしている、というのが一つの仮説。12時間前は株は上がったが、今は上がっていない。12時間前は米国株市場が開き、今は日本市場が開いている。それだけのこと。という説だ。

この説は論理的にはまったく正しいし、現実にも合っている可能性がある。そうなると、12時間で市場の方向感が一変するという現象が、なぜ、今急に起きたのか、ということが問題になる。

もう一つの仮説は、日本で影響を与えているトレーダーと米国で影響を与えているトレーダーが別の主体になった、ということである。これがもっとも本質的な仮説だと思うが、そうなると、なぜ急に今、そうなったのか、という問題が残る。

簡単なのは、日本では日銀が特殊な買い手、ということになるが、GPIFだろうが日銀だろうが、特殊な買い手が居たとしても、彼らが居ることを前提に米国のトレーダーは仕掛けてくるから、これは今、なぜ急に米国トレーダーが米国と同じ流れで仕掛けなくなったのか、という問題がある。

この2つとも成立していて、その奥に、この2つの動きをもたらしている真のひとつの要因がある、ということになれば、学校の授業や論文の仮説としては劇的かつ美しいが、実際はどうか。

ファンダメンタルズに回帰

ひとつのつまらない仮説は、米国の影響力が落ちてきて、米国市場で上がったから下がったからと言って、他の国の市場が連動するとは限らない、と多くの投資家が(米国の投資家でも日本の投資家でも欧州勢であっても)思うようになれば、それ以外のことは何の変化がなくとも連動しなくなる、ということはありうる。そして、私は、現状を説明するには、この説が正しいと思っている。

なぜ米国の影響力が落ちたか。

それはまたつまらない話で、金融政策が株を動かす特殊な時代が終り、またトランプがどんなに騒ごうとも、政治あるいは政策が市場を動かすこともなくなり、個別の企業の事情が株価を動かす、という普通のファンダメンタルズで決まる、という世界に戻ったからではないか。

そして、急にファンダメンタルズに戻ったのは、いまやアマゾンの未来が世界中の企業の未来に影響を与えるから、アマゾンの動きはFEDの動きよりも影響力がある、という事業会社、数社の企業が世界経済に(というよりは株式市場か)影響を与えるようになったからだ、ということだ。

意外と普通の話だが、重要な話だ。

行動ファイナンスは役に立たない、普通の平常時に戻っているのだ。

*この記事は「小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記」からの転載です