<これまで通り「サハリン2」の権益を持ち続けると国際社会から非難される恐れがあるが、撤退すればその権益が中国に渡る可能性は大いにある>

日本企業が多く参加するロシアの原油・液化天然ガス(LNG)事業「サハリン2」が、欧米によるロシア制裁の強化で岐路に立たされている。サハリン2は、日本が持つ数少ない天然ガスの権益だが、日本だけが対ロ制裁に協力せず、ロシアから有利な条件で天然ガスの供給を受け続けた場合、国際社会から批判される可能性もある。

サハリン2は、ロシア国営ガス会社であるガスプロム、英石油大手シェル、三井物産、三菱商事が出資する原油・天然ガス事業で、1999年から生産を開始している。原油の生産能力は日量15万バレル、天然ガスの生産量は年間960万トンとなっており、日本における天然ガス輸入の約9%がサハリン2からである。日本の輸入額全体に占める割合はそれほど高くないものの、日本企業が権益を持っていることもあり、長期契約で調達価格が割安になっている。

ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、西側各国はロシアに対する経済制裁を行っているが、ロシアにとって最も重要な原油と天然ガスの禁輸には踏み込んでおらず、制裁が不十分との声が日増しに高まっている。こうした批判の声を受けてドイツは、ロシアからの原油輸入を今年半ばまでに半減させる方針を明らかにするなど、徐々に根幹部分であるエネルギー分野に制裁を拡大する動きが顕著となっている。

ロシアの強力な支援者と見なされかねない

これまでの国際社会では、欧州がロシアの原油や天然ガスに依存していることの是非に議論が集中しており、日本の存在はあまり認識されていなかった。だが、日本は輸入依存度こそ低いものの、ロシアと共同で原油・天然ガス事業を展開しており、場合によってはロシアに対する強力な支援者と見なされかねない状況であることが、徐々に知られるようになってきた。

既にシェルはサハリン2から撤退しているし、国際社会と協調してロシアを封じ込めるとの立場で考えれば、撤退も選択肢の1つということになるだろう。

だが現実はそう単純ではない。サハリン2からの天然ガスは輸入量全体の10%以下だが、地域のガス会社によっては約半分がロシア産というところもある。価格が安いロシア産の天然ガスの利用をストップし、他の天然ガスに切り替えた場合、確実に調達コストが上昇するため、電気代やガス代がさらに値上がりする可能性がある。

日本が撤退すれば得をするのは?
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