<アメリカ音楽は、黒人と白人の図式で語られがちになるが、実はそこにインディアンが深く絡み、影響を及ぼしていることを描くドキュメンタリー>

キャサリン・ベインブリッジ監督の『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』は、弾圧されてきたインディアンの文化がアメリカのポピュラー音楽にどのような影響を及ぼしてきたのかを、証言や記録映像で掘り下げていく興味深いドキュメンタリーだ。

本作のタイトルは、ショーニー族の血を引くギタリスト/シンガーソングライターのリンク・レイが1958年に発表した曲「ランブル」からとられている。歪んだギターの攻撃的なサウンドのインパクトは大きく、インストでありながら放送禁止になった。ピート・タウンゼントやジミー・ペイジ、イギー・ポップなど、多くのミュージシャンに影響を及ぼしたことは比較的よく知られている。

そんなリンク・レイを出発点に、チャーリー・パットン、ミルドレッド・ベイリー、バフィ・セイント・マリー、ジミ・ヘンドリックス、ロビー・ロバートソン、ジェシ・エド・デイヴィス、ランディ・カスティーヨなど、ブルース、ジャズ、フォーク、ロックで異彩を放ったミュージシャンたちに光があてられていく。

人種混淆のなかで受け継がれ、剥奪を免れたインディアンの文化

しかし、インディアンの血を引くミュージシャンの音楽と物語を羅列しただけの作品ではない。ポイントになるのは、リンク・レイが紹介されたあとの前半部分の構成だ。

まず、インディアンに対する激しい弾圧、文化の剥奪に触れてから、ニューオーリンズが舞台となり、貧しい地域で行われるマルディ・グラのパレードが映し出される。羽根の衣装を身にまとい、パレードを先導するチョクトー族のミュージシャンによれば、彼の家族はインディアンに対する弾圧から逃れるためにこの街に来て、普段はみな黒人として生活している。インディアンだとわかれば保留地に送られてしまうからだ。

モーホーク族の血を引き、シックス・ネイションズ保留地で育ったロビー・ロバートソンの証言からは、それとは反対の関係もあったことがわかる。逃亡奴隷が保留地に逃げ込み、インディアンが黒人たちを歓迎してかくまい、やがて彼らの間に子供が生まれた。

さらに、タスカローラ族の血を引く歴史家/遺伝学者が、インディアンと黒人の歴史を掘り下げる。白人の入植者は最初にインディアンを奴隷にしようとしたが、彼らは逃亡し反撃してくる。そこで奴隷を輸入することにし、インディアンの男たちはアフリカなどに送られ、代わりに黒人奴隷が運ばれてきた。その奴隷の9割は男でインディアンと結婚した。だから南北戦争以前の黒人はインディアンの先祖を持つ人が多いという。

インディアンの文化は、そうした人種混淆のなかで受け継がれ、剥奪を免れた。本作はそれを音楽で確認しようとする。ニューオーリンズにつづくエピソードは、本作で最も重要な部分といえるかもしれない。

インディアンと黒人の文化が混ざり合う