<これらは現在の中国で起こっている現実だと、四川省成都の写真家、フェン・リーは言う>

時代、あるいは社会の急激な大変動は、しばしば優れたアーティストを生み出す。中国はまさにそんな歴史的急変を体験し続けている国だ。

北京や上海だけではない。他の地域からも多くの才能が生まれている。時代が彼らをプッシュし、彼らがまた新たな時代の扉を叩く。そして写真もそうした類に漏れない。

今回取り上げるのは、まさにそうした時代の中で生まれた人物。四川省の成都で生まれ育ったフェン・リーだ。同省の役所の広報部に属し、地域の発展やイベントを、たぶんプロパガンダ的にパーフェクトに撮影することを旨とする47歳の写真家である。

彼を一躍世界的に有名にしたのは、もちろん政府絡みの優等生的な写真ではない。彼個人のプロジェクトだ。「白夜シリーズ」である。

「白夜シリーズ」は、2005年の冬に始まった。リーが役所のアサインメントの撮影で赴いた、成都郊外のランタン・フェスティバルがきっかけだ。冬の畑の、まだ真っ暗な早朝で霧が一杯だった。その中で、自分がどこにいるのか分からなくなったという。

リーの話によれば、目の前に小さな道が伸び、道の終わりには高い位置にきらめく光が霧間から見え、灯台のようだった。1本の木、1本の巨大なクリスマスツリーが空から降りてきて、辺りを照らし出し、訳の分からない怪獣が隣で叫び、奇妙な男女がギシギシとロボットの舞を踊り、他に比べるものがないほど背の高い蓮のような巨大クラゲ、そしてニヤリと笑うパンダが一歩一歩近づいて来たのだという。

真夜中の畑はまるで白夜のようで、その馬鹿げたようなシーンの中でリーは唯一の観客だった。それらのシーンは彼だけのもののように思われたという。

それ以後、その夜の光景が彼の頭にこびりつき、彼はその再現を追い求めるようになった。例えば、死にかけてもだえる人、人の頭を持った男、蝶の羽を持つ人、鋭いナイフを持ってやって来る人、雷に照らされたウェディングドレス、指がなく血が付いたままの手を風よけにしながらタバコに火をつける人......。そうしたものは、全てあの冬の日の続きだ。それがリーの白夜の世界、パーソナル・プロジェクトである。

そうした「再現」の世界は、彼がランタン・フェスティバルの畑で見たものと同じで、しばらくは本物か幻想かはっきりしていなかったとリーは語る。だがこれらは、あくまでも、現在の中国で起こっている現実だ。彼自身、「現実」と言い切る。

構図や美的感覚は気にしていない...のか