1つ目は、一連の「アラブの春」に関する姿勢です。オバマは、チュニジア、リビア、エジプトでの革命を支持し、リビアではカダフィ政権を打倒するために軍事的な介入も行いました。

 その一方で、リビアではカダフィ殺害後の政治的混乱を「最悪の状態」になるまで放置していますし、エジプトでも「穏健派の大統領候補の擁立失敗」から「同胞団による政権樹立」そして「軍クーデターによるシシ政権登場」、さらに「シシ政権の中ロ接近」へと至る迷走を見せたわけですが、こちらも放置しています。また湾岸産油国のバーレーンにおける穏健な反政府行動に関しては見殺しにしました。

 そうではあっても、シリアのアサド政権に関しては、反政府デモによる政府軍の殺戮があったわけで、ここで毅然とした姿勢を示すことができれば、2009年にカイロで行った自分の「イスラムとの和解演説」に端を発した中東外交について「全面的に失敗だった」などという評価は回避できたはずです。

【参考記事】国連が警鐘「アレッポで多数の住民が殺害されている」

 2つ目は、アサド政権の「化学兵器使用疑惑」です。明らかに使用されたという疑惑があるにも関わらず、最終的にはロシアの仲介による「化学兵器廃棄」という措置で「政治的に無罪放免」に近い形にしてしまったというのは、やはり大きな失策でした。

 3つ目は、時間感覚の欠落です。シリアの反政府運動は、その初期においては分厚い中産階級が参加し、欧州の後押しも得て「平和的革命」になる可能性もあったと考えられます。ですが行動を躊躇するうちに、「反政府勢力にはアル・カイダ系が混じっている」という理由から武器供与ができなくなってきたのです。そこでさらに躊躇しているうちに、反政府勢力の一部がISISに走るという事態になりました。

 そして気付いてみると、中産階級の多くはトルコ経由で欧州へ脱出し、反政府勢力が善玉なのか悪玉か分からなくなる中で、政府軍とロシア軍に蹂躙されるに至ったわけです。

 ではオバマはどうすれば良かったのでしょうか?

「敗北」は不可避だったのか