「繁殖期」がなくなった謎

【養老】人間がやや特殊だっていうのは、ひとつは閉経期があること。そして、もうひとつは妙なことに繁殖期がなくなってるってことですね。普通の動物はいわゆるサカリがあるのに。

【阿川】人間はないです......ね。

【養老】別な言い方をすると、人間はのべつ繁殖期なんです。

【阿川】どうして、のべつ繁殖期になっちゃったんですか。

【養老】ひとつの大きな理由は、女性の排卵時期が周囲にも本人にも不明になっちゃったこと。自分がいつ排卵してるかがわからない。他の動物はサカリ、つまり自分が妊娠可能な状態にありますっていうときはサインが出るんです。サルの場合が典型的な例だけど。

【阿川】お尻が真っ赤になって、「今よ!」って。

【養老】ところが、人間はそういうサインがまったく出なくなっちゃった。いつ排卵してるのかわからないから、いつも男をそばに置いておいて年がら年中くっついてなきゃいけなくなった。でも、その交尾が生物学的には有益か無益かわからない。そういうの、ヘンでしょ? 合理的でないんですよ。

【阿川】遺伝子を残すことが重要だと考えるとね。

【養老】子どもを産む能率から言うと、ウサギなんかがそうですけど、交尾排卵がいちばん合理的なんです。交尾をすると排卵する。だから、最も妊娠しやすい。

【阿川】子どもを産む能率って......。愛の問題はどうなるんですか、愛の!

【養老】生物学っていうのは身も蓋もないんだけど、愛は一切考慮に入れてないんですよね(笑)。

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※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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