福音派とは何か、正しく理解している人はどれだけいるだろう。私自身に関していえば、いつかきちんと学ぶ必要があると考えていた。まだまだ知識が拙い気がしていたからだ。しかし、「これだ」と実感できるような書籍に出合う機会がなかった。

『福音派――終末論に引き裂かれるアメリカ社会』
言い訳がましくなってしまうけれども、そもそも「これが福音派だ」というような定義めいたものさえないようにも思えていたのだ。だから困ってしまい、プロテスタントに属する教団を信仰している友人に話を聞いてみたりもしたのだが、なかなか明確な「答え」に行き着くことはなかった。

そんななかで出合い、とても納得できたのが『福音派――終末論に引き裂かれるアメリカ社会』(加藤喜之・著、中公新書)だ。

高校時代に米国福音派を知り、信者とも交流する機会を得たという著者は本書において、そうした実体験を交えつつ適度の距離を置きながら、客観的に福音派を分析しているからである。

 

「福音派」("Evangelicals")という名称は、救い主イエスの到来を意味するギリシア語の「良い知らせ」(エウアンゲリオン)、すなわち「福音」に由来する。この用語は、一六世紀の宗教改革以降、ローマ・カトリックと区別されるプロテスタント教徒を表す一般的な呼称として使われてきた。しかし本書で扱う福音派は、アメリカの歴史のなかで独自の発展を遂げた特殊な宗教集団を指す。(「まえがき」より)

特筆すべきは、福音派の活動は単なる宗教復興運動とはみなせないという主張だ。神についての理論や儀礼、教団のあり方を強調するだけではなく、特に南部や南西部を基盤とする"文化的な復興運動"としての側面が、福音派にはあるという。

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