福音派の影響力は、数の減少以上に構造的な次元で持続

「非宗教者」増加の原因としては、冷戦体制の終焉(愛国心と反共産主義を表す必要がなくなった)、さらには宗教右派の台頭に対する抵抗感などが挙げられるようだ。もちろん、非宗教はただちに無神論を意味するものではないが、とはいえ注目すべき傾向ではある。

ただし、米国社会での福音派の影響力は、数の減少以上に構造的な次元で持続しているのだとも著者は指摘する。

 

彼らの終末論に根差した二元論的な戦術は、キリスト教ナショナリズムやトランプのMAGA運動、新使徒運動、さらにはウォークへの反対活動のなかに深く浸透した。論争相手を悪魔化し、独自のメディアで自説を展開する手法は、現代の政治的・社会的な運動の中に確かな足跡を残している。(285ページより)

果たして、今後の米国はどうなっていくのだろうか。そこに、現状を修正できるポテンシャルはあるのだろうか。

『福音派――終末論に引き裂かれるアメリカ社会』
福音派――終末論に引き裂かれるアメリカ社会

 加藤喜之・著

 中公新書

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[筆者]
印南敦史

1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。他に、ライフハッカー[日本版]、東洋経済オンライン、サライ.jpなどで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『この世界の中心は、中央線なのかもしれない。』( 辰巳出版)など著作多数。2020年6月、日本一ネットにより「書評執筆本数日本一」に認定された。

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